降級廃止からの1年間でどのような変化があったか。目立ったのは各クラスのレースの水準の低下である。
■最下級条件クラスでは在籍馬が減少
基本的に力量の高い馬から順番に勝ち、以前は降級馬が先に勝ち元にいたクラスへと戻ってから他の馬が勝つという傾向があった。ただ降級が無くなった昨夏以降は、降級馬がいた場合には勝てなかったであろう馬も早々に勝ち上がってしまい各クラスに残る馬の層が薄くなった。
レベルの低下が特に顕著だったのは最下級の1勝クラス。2勝クラス以上では下で勝った馬が新戦力として常に補充される一方、1勝クラスは3歳未勝利戦が終わると新しい馬が入ってこなくなる。19年からは降級廃止と同時に3歳未勝利戦の終了時期も従来より1カ月前倒しされ9月初めとなった。例年より早く新戦力の補充が無くなってしまった格好だ。
そもそも降級廃止で19年夏の1勝クラス在籍馬は18年夏と比べて14%減っていた。その状況から勝った馬が上のクラスへと抜けていく一方となったため、夏競馬直前の20年5月になると、1勝クラスのレースのレベルは例年と比べると著しく低下した。
頭数減少で出走馬が集まらないレースも増えた。4月下旬〜5月末に行われる東京、京都競馬の期間の4歳以上1勝クラス(同時に開催された福島、新潟も含む)のレースでは、20年は全78レース中、10レースで出走頭数が一桁だった。
■抽選に外れ、出たいレースに出られない馬も
一方で、在籍頭数の増えた4歳以上の3勝クラスでは同じ期間のレース数が19年の24から20年は27へと増加。15頭立て以上の多頭数のレースも9から14に増えた。上級条件のレースの充実という降級廃止の目的は達せられたようにみえる。
ただ、出走希望馬が出走可能頭数を上回るレースも多く、抽選で除外されて出たいレースに出られないというケースも目立った。新型コロナ感染拡大で関東馬は東京、関西馬は京都のレースにしか出走できない(福島、新潟には双方可能)という移動制限の影響も考えられるが、3勝クラスのレース数の見直しなどは今後の課題となりそうだ。
降級廃止による大きな変化はもう一つある。4歳以上の馬と3歳馬が一緒に走る6〜12月の1、2勝クラスでは、3歳馬が圧倒的に優位に立つようになった。
降級廃止の影響で20年の4歳以上の下級条件馬の層はこれまで以上に薄くなっている。
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