「
宝塚記念・G1」(26日、阪神)
長年、願い続けてきた光景がある。息子と並ぶG1のお立ち台だ。
ヤマカツエースを
宝塚記念に送り出す池添兼師が開業当時を思い起こす。長男・謙一が騎手デビューを果たしたのが98年3月。その1年後に厩舎を構えた師は1頭の牝馬に巡り会った。
ヤマカツスズランだ。息子の手綱で前哨戦を勝ち、99年阪神3歳牝馬S(現・阪神JF)へ。父子タッグによるG1制覇のチャンスだったが、謙一はその1週前に騎乗停止処分を受けた。そして、代打のM・キネーンがG1勝ちへ導く結果に。「その後の
秋華賞(2着)も、勝ったと思ったけどやられた」。悔しそうに振り返る師だが「あれがあるから今の謙一があるのかもしれん。でも、定年までに勝ってもらわんと辞めるに辞められん」と親の表情を見せる。
チャンスは再び巡ってきた。重賞3勝馬
ヤマカツエースの背にまたがる愛息は
宝塚記念3勝を誇る
グランプリ男。
鳴尾記念こそ6着に敗れたが「前走よりも体が締まって見える。上積みがある」とトレーナーは出来の良さに自信。大外枠の8枠17番にも「雨が降るし、外の方がいいかもしれない。ジョッキーがうまく乗るだろう」と主戦にすべてを託す。
「謙一でG1を勝つのは夢。ただ、実現しないと夢のままだから」。くしくも17年前と同じ“
ヤマカツ”の栗毛馬。熱い思いを胸に大舞台へ挑む。
提供:デイリースポーツ