「競馬記者コラム・仕事 賭け事 独り言」
今年も11月3日にダート競馬の祭典JBCクラシック、ス
プリント、レディスクラシックのJBC3競走が
川崎競馬場で行われた。48億7402万2850円となる
地方競馬一日売得金額レコードが達成され、開催地の
川崎競馬場には、2万8000人を超えるファンであふれかえり、大盛況で終了。レースの方も頂上決戦らしく、高いレベルが繰り広げられ、誰もが納得のいくチャンピオンホースが今年も誕生した。
記者が担当する南関東競馬所属馬も、最初に行われた9Rのレディスクラシックでは、8連勝中で臨んだ
トーセンセラヴィ=牝6歳・小久保=が3着と健闘し、10Rのス
プリントでは
サトノタイガー=牡8歳・小久保=が5着と14年の2着馬たる意地を見せた。また、2番人気に支持された
ソルテ=牡6歳・寺田新=は果敢に先行するも6着と敗れたが、JRA代表のトップホース相手に真っ向勝負を挑み存在感を示すレースぶりを見せてくれた。
ただ、メインレースの11Rのクラシックでは最先着の
ユーロビートが優勝馬
アウォーディーから2秒2差遅れの6着が最高成績で、そのレースぶりも離された後方から差を詰めた程度のレース内容。このレースでの
地方競馬代表馬たちは、JRA勢の砂上界のスターたちとのレベルの差が歴然としていた。
その前記した
ユーロビートは2度の
東京記念(S2・2400メートル)を制すなど南関東競馬の中では中、長距離部門では自他ともに認める第一人者。そのユーロでさえ何も抵抗できず、競馬にならないという感じのレースで終わってしまったのは担当記者としては残念でならない。
この2000メートル超戦での格差は今後も続くと思われるが、その第一の要因は南関東生え抜きの中、長距離馬が育たないこと。
ユーロビートも元はJRA所属馬であり、近年の南関東での千八戦を超える重賞での優勝馬はほとんどがJRAからの転入組。こちらにきてからの
パワーアップはあったとしても、ある程度の見切りをつけられたが故の移籍だけに、頂上決戦で再びJRAのトップホース相手には勝ち目のないのは仕方ないところだ。
層の厚さなくしては真のチャンピオンは出てこないのだが、南関東競馬のレース番組で1800メートルを超える距離のレースは下級条件から極端に少なく、じっくりと育つ長距離系血統が開花するチャンスを与えてもらえないのも、ステイヤーが育たない要因だろう。
生産界でもダート向きの長距離馬を意識した馬作りは、どんどん薄れているような流れが感じられるだけに致し方のないのかもしれない。ただ、「強いと思われる馬がマイル戦以下の距離のみというのはあまりにも寂しい現状」と思うのは記者だけであろうか。
先日、川島一師も「
アジュディミツオー、
フリオーソは、JRAのトップを負かしていたんだから、本当に親父(故川島正行調教師)はすごかった。南関東競馬をもっと良くするためにもそんな生え抜きのチャンピオンをまた育てなきゃいけないよな」と話していたが、まさしくその通りと記者も同感した次第。その両馬のような南関東生え抜きの中、長距離界のチャンピオンホースが再び登場することを期待したい。(南関東競馬担当・工藤修)
提供:デイリースポーツ