田中博康騎手が、31歳で調教師試験に合格した。午前10時、美浦トレーニングセンターの調教スタンドに貼り出された合格者氏名を確認した後、喜びと今後の夢を語った。
「純粋に嬉しいです。調教師になるために、やるべきことをやってきたつもりです。やっとスター
トラインに立つことができました。
調教師になろうと思ったのは、フランス遠征が大きいです。5年前に行った時は、もちろんジョッキーとして勉強をするためだったのですが、なかなかその経験を生かす機会がありませんでした。もっと経験を生かすには、一から自分で馬を作っていった方が良いと考えました。
経験は浅いですが、これからもいろいろなことを吸収していきたいです。その点では、より長く調教師をできますし、それもあって早く合格をしたかったというのもあります。
3年前に試験を受けると決めましたが、自分の中で調教師になった時のビジョンがわからなかったので、去年は受けませんでした。どう馬を作っていこうかなど、ビジョンがまとまったのは、今年の春に
エイシンヒカリの遠征で、フランスに行った時でした。自分の中で納得ができたので、今年受験しました。やるからには一発で合格したいという気持ちでした。夏から騎乗も制限して、ほぼ1日中、勉強していました。
活気のある厩舎にしたいですね。調教師とスタッフと話せない空気は良くないと思いますし、自分も厩舎の一員となって、みんなで高めあってチームワークの良い厩舎にしたいです。フランスのアンドレ・
ファーブル厩舎が理想ですね。フランスには憧れが強いですし、海外のレースでは
凱旋門賞に勝ちたいです」
(取材・写真:佐々木祥恵)