例年の年末年始なら雨や雪の影響により、一度馬場が悪化すると気温低下によって、なかなか回復しないものだが、今年に関しては雨雪の影響を受けなかったこと、雨が降っても日中の気温が比較的高いことによって、走りやすい馬場状態がキープされているように思う。
また年明けのレースで前走比+10キロ以上の馬が多く、その取捨に悩まされた方も多いだろう。5日、7日、8日のレースで、のべ146頭がこれに該当していたが、その勝率は8%ほどあり、決して大きく馬体が増えているからといって軽視はできない。
好走の中にはデビュー以来最高体重というケースがあっても走れている場合もある。昨今の飼葉や運動方法などから、体重が増えたからといって即走れないわけではないのだろう。なにかしらの
ファクターで評価したいと考えた馬であれば、あまり数字にこだわるべきではないのかも知れない。
【坂路/4F51.9秒】
11日。一番時計は
マルヨバクシンの4F49.9秒。4F50秒台も6頭いて、全体的に走りやすい馬場であることは間違いない。2F続けて11秒台のラップを踏んだ馬もいるくらいなので、この時期にしては異例なくらい、軽くて時計が出やすい馬場になっている。
そんな馬場ではあったが、
日経新春杯に出走予定の
アクションスターと併せて素晴らしい動きを見せたのは
レッドアヴァンセ(栗東・
音無秀孝厩舎)。3F目までは互角の手応えだったが、ラスト1Fはこちらが余裕の先着。追えば、1F12秒台でまとめていたと思われるだけに、4F50.9秒、1F13.0秒の時計にも納得。3歳時に連勝した京都マイルの舞台設定で自己条件ともなれば、きっちりと結果を出してくれそう。
12日。馬場状態に関しては前日と変わりなし。時計が出やすい馬場だったので、
AJCC(1月22日・中山芝2200m)を予定している
リアファル(栗東・
音無秀孝厩舎)の1週前追い切りも、4F51.2秒と数字的には決して悪くない。
ただ、併せた相手
プレシャスルージュには遅れており、最後は全く余力がないといった感じ。当然ではあるが、
神戸新聞杯を勝った時のようなスピード感溢れる動きといった感じではなく、このひと追いでどこまで良化してくるかといったところ。
先週の馬場差が昨年末から引き続いて「-0.3秒」。今週に関しても馬場が重くなった印象は全くなく、ほぼ同じような数字でよさそう。よって馬場差は11日、12日とも『-0.4秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
11日。開催スケジュールも通常に戻り、追い切り頭数もいつもの水曜日らしい感じになってきた。時計に関しては、坂路馬場同様、走りやすい印象を受けるし、実際の数字も6F81秒台は決して速い数字ではない。ただし、テンから飛ばしていって、最後に1F13秒台を要しているような馬もおり、馬の状態判断に関しては、全体時計とラストの
バランスを見ればよいのではないだろうか。
そういった意味で、3歳ながらにしっかり時計を出せている
ルタンデュボヌール(栗東・
友道康夫厩舎)はやはり素質の高さを感じさせてくれる1頭。
シングウィズジョイとの併せ馬だったが、内から並びかけられて、追い抜かれても、再びそれを差し返す動き。6F83.1秒は速い時計ではないが、3F38.6秒、1F12.0秒の
バランスは非常によい。
12日。
別ニュースでもお伝えしたように、
東海S(1月22日・中京ダート1800m)を予定している
インカンテーション(栗東・
羽月友彦厩舎)が1週前追い切り。同じく
東海Sを予定している
アスカノロマン(栗東・川村禎彦厩舎)も1週前追い切り。しかし、その動きは驚くほど終いが止まってしまう内容だった。
他の追い切りとの兼ね合いで、私がストップウオッチを押したのは5Fだったが、実際は8Fから時計になっていたよう。5F71.9〜4F58.9〜3F45.7〜1F16.7秒という数字を見れば、馬なりでやっていないように思えるが、そうではなく、実際には最後は歩いていた。前走時の1週前追い切りでも終いは止まっていて、それでも3着と好走しただけに、年齢的に気性的な難しさが出たのかも知れない。いずれにせよ、最終追い切りには注目すべきだろう。
先週の馬場差は年末から引き続いて「±0.0秒」。今週に関してはどの追い切りに関しても時計が出ている印象を受けるだけに、馬場差は11日、12日とも『-0.5秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は追い切りは
中内田充正厩舎が3歳の併せ馬を行っただけ。馬場差に関しては、11日、12日とも『±0.0秒』とした。
ポリトラック馬場はいつも変わりなし。12日は
東海Sの出走を予定している
ドコフクカゼ(栗東・
友道康夫厩舎)が単走での追い切り。スピード乗りはいつもと同じで、最後まで集中した走り。時計は6F76.6〜5F62.7〜4F49.1〜3F36.7〜1F12.0秒とこの馬にしてはごく標準の数字。走りやすい状態は今年に入っても変わりない。よって馬場差は11日、12日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)