「やっぱり若い女の子は難しい。その日の気分に左右されちゃうもん」
ヨッチャンこと吉田芳行キュウ務員が以前にこう漏らしたことがある。むろん“硬派”で鳴らす彼のこと、プライベートではなくお馬さんの話である。
今週
オークスに出走する
カリビアンゴールドは、昨年9月のデビューからヨッチャンが愛情を注いできた“愛娘”。コンディションの整え方はすっかり把握しているはずだが、近4走9、1、11、2着の成績が示す通り、安定して力を出せずにきた。
「美浦では“いいな”と思っても、競馬場に行って予想外に体が減ったり、気持ちが高ぶったり。その波をなくすように、工夫しているんだけど」(吉田キュウ務員)
前走の
オークストライアル・
スイートピーSで◎を打ったのは、ニュージーランドT(11着)が力負けではないと思ったからこそ。
女心と秋の空。少女の気持ちにムラがあるのは、自然の摂理かもしれない。
「前走は楽に勝つと思ったんですけどね。思わぬ結果にレース後は頭が真っ白になりました」
寺島裕治助手がこう語る
ホウオウパフュームの
フローラS(8着)も、そう考えれば悲観する敗戦ではないのか。牡馬を圧倒する走りを見せた
寒竹賞(中山芝2000メートル)を尺度にすれば、前走が能力とは信じがたい思いもある。
「ホント走る馬ですよ。ただ、近くに馬がいると威嚇して耳を絞る面がある。前走はその辺が影響した可能性もあるんじゃないかな」
中間から同馬の手綱を取る
松岡正海も“秋の空”と変わり身を感じ取っている一人。「おそらく負けたらオレに“次”は回ってこない。だからここで狙うは1着だけ。イチかバチかの大外ブン回しでもいいと思う」とその可能性にかけている。
1番人気の牝馬が4連敗中という今春GIの傾向が連動するようなら、今週の
オークスも一筋縄ではいかないはず。前出のヨッチャン同様、若い女の子を得意としない当方だが、その分、けがをしない道は心得ている(つもり)。
ホウオウパフュームを含めた前走負け組、そこに今年の
オークス馬が潜んでいる気がしてならないのだが…。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ