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宝塚記念・G1」(25日、阪神)
最後の直線。場内の歓声が悲鳴へと変わった。ファン投票1位。単勝1・4倍の圧倒的1番人気に支持された
キタサンブラックが、馬群の中へのみ込まれていく。誰もが目を疑う9着惨敗。馬券圏内を外したのは、実に15年ダービー(14着)以来、約2年ぶりだ。
引き揚げてきた
武豊も、信じられないといった表情。「正直よく分からない。こんなの初めてなので残念です」。頭の整理がつかない。一つ一つ敗因を探る。「状態面で気になるところはなかったし、レースも不利があったわけではないし…」。現役最強馬に突然訪れた試練。「全部勝つって難しいですね」。前日にJRA史上初となる3900勝を達成した名手でさえも、この敗戦には首をかしげるしかなかった。
戦況を見届けた清水久師は開口一番「残念でした」とサバサバ。戦前は単騎逃げも予想されたが、ゲートが開くと好位の外めを追走。「結果を思えば、テンの勢いがいつもよりなかった」。3角手前では
サトノクラウンに外からつつかれ、脚を使わされる場面が。そこは「それぐらいであんなに負ける馬じゃない」と否定したが、明確な敗因は分からぬまま。「難しいですね、競馬は」と、鞍上と言葉をそろえた。
ファン投票で選出するドリームレースは4戦していまだ未勝利。指揮官は「1位に選んでいただいたのに申し訳ないです」と頭を下げた。近日中に放牧へ出され、夏は休養に入る。「しっかりと立て直して秋に出直しですね」。このままでは終われない。ファンも強いブラックを、そして華やかな“祭り”を待っている。
提供:デイリースポーツ