かつて厩舎の看板馬だった
タガノジンガロが、後輩たちの夏バテ対策に一役買っている。
JRA・松田博資厩舎から2014年に兵庫・
新子雅司厩舎に移籍した
タガノジンガロは、移籍後2戦目の
かきつばた記念(JpnIII)を優勝。その賞金で購入した水素水を生成する機械が、新子厩舎で夏バテ対策の一助を担っているというのだ。新子師は当時を振り返る。
「厩舎開業前、栗東トレセンに研修に行った時に水素水を導入しているのを見て、自分の厩舎にも設置したいと思いました。でも
地方競馬の厩舎では費用がかかるのでなかなか難しかったんです」
ところが厩舎開業から約2年経った頃にダート
グレードレースを勝利。
タガノジンガロが泥んこ馬場の中、
ノーザンリバーの追撃をハナ差凌いでくれたおかげで、導入に踏み切ることができた。
「一番効果が表れたのは、ジンガロ自身でした」
タガノジンガロが新子厩舎に移籍して1年目の夏は水素水の導入が間に合わず、暑くなるにつれて調教後に水をあまり飲まなくなったという。ところが翌年の夏は水素水を与えるとしっかり飲み、体調もキープできていたという。
その後、2015年の
JBCスプリントのレース後に急性心不全で亡くなったが、
タガノジンガロが後輩たちに遺した水素水生成の機械はこの夏もフル活用されている。
「色んなタイプの機械があるみたいで、うちのやつは水桶1杯、20L弱作るのに15分くらいかかりますが、全頭に与えています」
水素水の効果の有無や、時間が経つと濃度が下がることなど巷では様々な情報が飛び交っている。厩舎側もこれだけではなく、あらゆる夏バテ対策を取り入れており、水素水はそのうちの一つという位置づけだ。
「暑さ対策ではクーラーを設置できたらいいのかもしれませんが、馬が在厩したままでは工事ができないんです。その代わりに各馬房に業務用の扇風機を置いたりリンゴ酢を与えたり、そういったことで対応しています」
暑さ本番。
JRAも
地方競馬も、各厩舎で様々な取り組みがされている。
(取材・文:大恵陽子)