岐阜県・木曽川のほとりに位置する
笠松競馬場。厩舎の軒先から放出されるミスト状の水が厩舎を涼しくしていた。笠松リーディングで、厩舎にこの方法を取り入れている
笹野博司調教師はこう説明した。
「細かい穴が空いたホースがホームセンターなどで売っているので、それを軒先に這わせています。以前から笠松ではこれをやっている厩舎が多くて、5年前の開業時からうちでもやっています。うちの厩舎は、馬房の中に向かって風が吹くことが多いので、馬たちも涼しいと思いますよ」
JRAでは厩舎内の天井にミストの機械が取り付けられ、馬房に向かって噴出する。対してこちらは屋外の設置だが、打ち水のように涼しく感じる。その大きな理由の一つに水の種類が挙げられるだろう。使用される水は地下水。岐阜市内を流れる長良川から笠松町を通って木曽川沿いに地下水が流れるなど、この地域では地下水が比較的豊富だという。
「地下水はすごく冷たいですからね。馬の脚を冷やすにしても、夏場は水道水だとちょっと頼りなく感じるのですが、地下水だと『あ、ちゃんと冷えたな』って感じがします」
厩舎によってはホースを瓦屋根のてっぺんに取り付け、そこからミストが噴出している。平屋建て厩舎の屋根の熱を取る効果もあるのかもしれない。
「暑い時は夜中もずっとミストを出しています。この辺の夏は蒸し暑いですからね。牡馬は夏負けをしやすかったり、夏は体調管理に特に気を遣うので、この仕事をしてから夏が嫌いになりました(苦笑)。でも、できる範囲でいろんな対策を取っていきたいですね」
地下水というこの地域ならではの資源を活かした暑さ対策だろう。
(取材・文:大恵陽子)