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大けが克服“奇跡の馬”デゼル、天国の母へ

  • 2021年05月12日(水) 20時57分
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 ヴィクトリアマイルに挑むデゼルは、大けがを克服した“奇跡の馬”だ。1歳7月に放牧中の事故で左後肢飛節上部の脛骨(けいこつ)遠位を骨折。その影響で直後に右後肢飛節の関節炎にも見舞われた。

 社台ファーム事務局の長浜卓也氏は「競走馬になるのは難しいかもと思ってしまうくらい、重度の骨折で命を助けなくてはというレベルの事故でした」と振り返る。

 仏オークス、仏1000ギニーなどG1・2勝を挙げた名牝アヴニールセルタンの初子で、交配相手は大種牡馬ディープインパクト。

 長浜氏は「上品な馬で、特にあか抜けていた。何とも言えない一流の雰囲気を持っていました」と目を細める。期待通りの素質に恵まれた超良血馬だったからこそ、所有する社台サラブレッドクラブの募集をいったん停止せざるを得ないほど事故のショックは大きかった。

 それでも牧場スタッフの愛情と熱意でじっくりと育成を進められたデゼル。デビューは3歳3月と遅くなったが、2連勝でスイートピーSを制してオークス(11着)に駒を進めた。「あれだけの事故があって、2年もたたずに世代トップを狙えるレースに出れるなんて信じられませんでした。再募集で応募してくれた出資会員様の熱意に応えたかったし、我々スタッフの心の支えになりました」。レースのたびに浮かぶ「とにかく無事に」との願いは、今もスタッフ共通のものだ。

 母は全妹オヌールを産んだ翌19年4月、放牧地での事故でこの世を去った。子供は2頭しか残せなかったが、いずれも上のクラスまで勝ち上がれる素質は確実に受け継がれた。「気品があって、気高いお母さんでした。すごくしつけられて、人間のことを信頼しているいい馬でした」と長浜氏。晴れ舞台で元気に走る姿を、天国の母も心待ちにしている。


<友道調教師も手応え「いい形でいけます」>

 偉大な血の大切さは分かっている。友道調教師は常日頃から「無事に牧場に戻さないといけない。その中で競走成績も挙げてくれれば」と口にする。当初、2歳秋に予定していたデビューは、万全の態勢を整えるため経験馬相手の3歳3月。4歳ながらまだ7戦のキャリアが物語るように、大事に育ててきた。

 「体がパンとしてきました。本来はもっと距離があった方がいいけど、阪神よりは東京がいいし、いい形でいけます」と友道師。心身ともに充実期を迎えた今、ビッグタイトルへ確かな手応えがある。
ネタ元のURL
https://hochi.news/articles/20210511-OHT1T50029.html

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