スマートフォン版へ

みんなの投稿ニュース

藤沢和師 何事も決めつけてはいけない2歳

  • 2021年06月04日(金) 22時21分
  • 1
  • 2
かつては1、2歳馬をトレセンへ早めに連れてきて、厩舎で馴致を行う時代もありましたが、様変わりしましたね。今は牧場で馴致を行い、乗り込んできた馬が早くデビューします。

今年も私の厩舎には期待馬が入厩してます。フィフティシェビーは昨年、米キーンランドセプテンバーセールで長谷川祐司オーナーが落札した馬。母がダートのG1を3勝している良血です。

先日、記者にデビュー予定を聞かれ、東京芝1800(13日)と答えたのですが「え、タピット産駒なのに芝で走らせるんですか」と不思議な顔をされました。思い出してみてください。サンデーサイレンスがどんな馬だったか。彼の産駒は素晴らしい瞬発力を武器に日本の芝を席巻しました。でも現役時代米国でケンタッキーダービーやBCクラシックを勝ちました。芝は1度も走ってません。米国はダートが主流。ただ向こうのダートは時計が速い。日本のダートとは異なります。私は「何事も決めつけてはいけない」ということをいつも意識し、スタッフにも伝えています。

サンデー産駒にはダートが得意な馬もいました。同じ父と母から生まれたとしても、人間と同じで、1頭1頭で個性は異なります。そして同じ馬であっても、昨日と今日、今日と明日では異なります。昨日こうだったから今日もこう・・・、最初からそう決めつけてしまうと大事なことを見落としてしまうでしょう。

30年以上前のことですが、ヴィンセント・オブライエン(20世紀を代表する伝説の調教師、故人)から直接言われた言葉は今も耳に残っています。「競馬で大事なのはスピードだ」。起伏の激しい馬場、スタミナ勝負になる英愛の競馬を支配する彼らが「スピードが大事」と言うのです。名声を高めた名馬たち、ニジンスキーもロベルトもザミンストレルも、あのサドラーズウェルズも欧州で生産された馬ではなく、みな米国やカナダで生産され、アイルランドへ運ばれた“スピードを持った馬”でした。近年の彼らが大事にした種牡馬がストームキャットであり、活躍するガリレオ産駒を見れば、そのほとんどの馬には母系に素晴らしいスピードを持つ種牡馬や牝馬の血が流れています。

かつて日本はやみくもに英ダービー馬を種牡馬として輸入していた時代があり、今も凱旋門賞信仰が捨てきれずにいる。ただ将来の日本競馬のためにも、若い人へ向け、私から改めて「競馬で大事なのはスピードだ」と伝えておきます。
ネタ元のURL
https://p.nikkansports.com/goku-uma/guide/column/article.zpl?topic_id=10139

みんなのコメント1件