シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラック、そしてアーモンドアイ。以上の8頭は芝G?を7勝以上した名馬中の名馬である。ほとんどの馬が人気を背負う中、ファンが最も馬券の美味に気付かなかった、つまり配当妙味が高かった馬こそキタサンブラックである。
ディープインパクトは、国内出走13戦すべて単勝130円以下に支持された。
対するキタサンブラックはデビュー2戦目に48倍の単勝配当となり、10倍以上の払い戻しも何と4回。3歳時は誰もその強さに気付いていなかった。
競走馬としての購入価格も格安だった。
前記7頭のうち、公表されている購入価格はテイエムオペラオー1000万円、ディープインパクト7350万円、ジェンティルドンナ3400万円(共同馬主の募集価格合計額)、アーモンドアイ3000万円(同)。これに対し、馬主の北島三郎氏がヤナガワ牧場からキタサンブラックを購入した際の馬代金は350万だった。当歳時から期待されておらず、走る要素も見当たらなかったわけだ。
初めて目にした際のイメージを、サブちゃんは次のように語っている。
「身体が薄く線が細く脚が長かった。ただ、目と顔をみて買うことにした。写真を撮るときに暴れるのはスターの素質があるとも感じた」
G?7勝を挙げたころには「これほど勝つ馬になるとは思っていなかった。お前を見損なっていたと謝りたいです」と述べている。
馬主からして、それほどの期待を抱いてはいなかったわけであるが、それもそのはず。サブちゃんの所有馬のほとんどは中小牧場の生産馬であり、ディープ産駒は1頭もいない。芸能界で頂点を極めたサブちゃんを支持していたのは名もなき多くの一般人であり、一種の反骨精神がキタサンブラックとつながった要因ではないだろうか。
ディープ産駒の活躍で長らくノーザンファームの一強時代が続いている。活躍する馬は常に高額で、一部の金持ち馬主しか手が出せない。キタサンブラックが有馬記念で惜敗したサトノダイヤモンドなど2億4000万円で取引されている。
サトノダイヤモンドは8億円を稼いだが、キタサンブラックは倍以上の18億円を稼いだ。格安馬による常識外れの大成功であり、それは長きに渡り中小牧場を支えてきた北島三郎に、神様が与えたご褒美だった気がする。
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