朝の調教時間、わたしが
テイエムジンソクのいる木原厩舎の周辺に行くときは、いつも馬場開場からしばらく経った時間帯が多いんです。ちょうど一番乗りの馬たちが調教から上がってきて運動しているタイミングです。
トレセンでも芦毛は目立つので、以前からこの時間帯に芦毛の馬がうなだれながら大人しく歩いている姿は印象に残っていました。でも、それが
テイエムジンソクだと気付いたのはつい最近、GI前に特殊ゼッケンをつけて歩いていたときのことでした。
テイエムジンソクといえばパドックでチャカついている馬なのに、まさかあのうなだれた芦毛と同じ馬だったなんて!?
改めてトレセンで
テイエムジンソクを見たんですけど、やっぱりそんなに元気じゃない。そのあたりを担当の吉永厩務員に聞いてみました。
「調教前はトレセンでもパドックと同じようなかんじでチャカチャカしていますよ。でも、調教を終えるとガス抜きされたのか大人しくなるんです」
なるほど! 単に調教で走って疲れて、うなだれていただけなんですね。
「いつも走るときは一生懸命なんです。オンとオフというより、単純なんです」
毎回一生懸命走る芦毛ちゃん…。なんか、それだけで可愛らしく思えてきました(笑)。
テイエムジンソクは昨年の今頃は準オープンで善戦するも勝ちきれない競馬を繰り返していたのに、この5月から成績はガラリ一変。1着、1着、1着、2着、1着と古川騎手が手綱をとるようになってから好成績を重ねています。騎乗者以外に何か大きく変わったところがあったのか聞いたのですが、特にないそうなんです。
「体も入ったときから大きく成長していませんし、気性もまだまだ幼いところも残っています」
幼い馬は扱いにくいケースもあるのですが、そのあたりは心配ないそうです。
「単純なので、行動パターンが読みやすいんです」
一生懸命走って疲れて、好物の
ニンジン食べて、寝る。そして、起きたら元気になってチャカチャカと意気込んで、また走る。
ひたすら、これの繰り返しなのかもしれませんね。だからこそ、条件や体調さえ整っていれば成績も崩れないのかもしれません。今回の
チャンピオンズCはこれまでより相手がかなり強くなりますが、そんな気性のジンソクなら、一生懸命走ったなりの結果をちゃんと出してくれるのではないでしょうか。
今回、初の左回りですがそのあたりは古川騎手が乗ったコースでの追い切りでカバーしています。木原師も「レースは全て騎手に任せます。自分の競馬をして、うまく流れに乗れたらいいですね」と鞍上に全幅の信頼を置いています。
フルキチくん、阪神3歳牝馬Sの
アインブライド以来のGI勝ち、期待していますよ!
(取材・写真:花岡貴子)