1着馬55kg、2着馬54kg、3着馬53kg、そして4着以下がすべて51kgというハンデ順の入線。しかも3馬身、5馬身、1馬身半という決定的な着差は、ハンデ以上に能力差があったという結果。
地方で行われるダート
グレードのハンデ戦では、斤量の下限を51kgないしは52kgとしているところが多く、しかも牝馬限定戦ではトップハンデを59kgや58kgにはしにくいため、実力差をハンデで埋めきれないということがよく起こる。しかも今回、
JBCレディスクラシックを制した
ララベルがトップハンデ56kgの設定で、しかし登録のみで回避(というより当初から出走意思はなかったようだが)。そのためなおのこと、ハンデで実力差を埋めることができなかった。
JBCレディスクラシック2着で、実際の出走馬ではトップハンデ55kgとなった
プリンシアコメータだが、勝ち星ということでは1000万条件まで。そういう意味では、
アンデスクイーン、
タガノヴェローナ(ともに51kg)も同じ1000万条件勝ちということで、そこに逆転の可能性も考えられなくもなかったが、まったくそうはならなかった。
2番枠に入った
プリンシアコメータは、ほかにこれといった逃げ馬もいなかったためすんなりとハナに立つと、
アンデスクイーン、
タガノヴェローナと続いて、すぐに隊列が決まった。
向正面から
プリンシアコメータがじわじわとペースアップすると、3コーナー過ぎで
アンデスクイーン、
タガノヴェローナはすでに追い通し。代わってそのうしろから進出してきたのが
アンジュデジール。しかし緩むところがない完璧な平均ペースを刻んだ
プリンシアコメータに対し、
アンジュデジールは3コーナーから脚を使ってしまい、このあたりで勝負あった。
実際に数字で見ると、
プリンシアコメータの刻んだラップは、スタートして2F目に11秒8があるだけで、それ以外はすべて12秒台を正確に並べた。逃げた
プリンシアコメータの上り3F=38秒0がメンバー中最速ということでは、後続勢は手も足もでなかったことがわかる。
早めに前をとらえにいった
アンジュデジールは、
JBCレディスクラシックのときより
プリンシアコメータとの差を詰めたが、3着の
ラインハートは逆に末脚を封じられてしまった。
勝ちタイムの1分51秒8は、2008年、不良馬場で
ヤマトマリオンが勝ったときの1分49秒5以来の速いタイム。
船橋競馬場はこの開催の前に砂の全面入れ替えを行っており、ここまで3日間(いずれも良馬場)の勝ちタイムを昨年の同じ開催と比べると、全体的に2秒ほども速くなっていた。つまり
プリンシアコメータが刻んだ平均的なラップは、見た目以上に楽なペースだったといえそうだ。
プリンシアコメータは東京ダート2100mでも勝っているように、そのレースぶりからも、さらに距離が延びてもよさそう。牡馬相手なら2000mを超える距離のダート
グレードがいくつもあり、その路線への挑戦でも楽しめそうだ。