コロナ禍でいろいろと不自由ではあるが、移動しなければ調教師は務まらない。感染対策に留意しつつ、競馬場と牧場を飛び回っている。競りで買っていただいた当歳馬の視察、1歳馬は育成牧場への移動準備や連絡、夏はやることがいっぱいあるのだ。そしてお盆を過ぎると秋の中央開催に向けて、これから入厩する2歳馬や現役の休養馬のチェックが忙しくなる。
まずはコントレイル。秋の復帰に向けて大山ヒルズで英気を養っていたが、調教ピッチを徐々に上げている。馬体重は490キロ前後をキープ、おそらく大阪杯と同様の体重での復帰になると思われる。今後はさらに調教強度を強めて9月末頃に栗東に帰厩させる予定だ。まずは秋の天皇賞に全力投球である。
昨日はユニコーンライオンとバスラットレオンも見てきた。ユニコーンは春の好走で馬が自信をつけているのを感じた。馬体には風格さえ漂い、一皮剥けた印象。京都大賞典での復帰を目指して調教も順調に進んでいる。バスラットは京成杯AHに向けて近々帰厩させる段取りである。先週のブリーダーズGCを好内容で勝ってくれたマルシュロレーヌは秋に新たな挑戦をするべく調整中だし、ホウオウアマゾンやダノンファラオ、クラスターCで4着だったジャスティンも今秋の飛躍を目指して虎視眈々の状態だ。
そして今週の札幌記念に出走予定のラヴズオンリーユーとステイフーリッシュ。ラヴズはこのレースが国内最終戦になる可能性もあり、目一杯の仕上げとは言えなくともしっかりと調整できている。フーリッシュには何とか勝利の美酒を味わわせたい。
調教師として、条件馬も含めてどの馬にも大きな夢を持って接していきたいと思っている。
■矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961(昭和36)年3月20日、東京生まれの60歳。父は大井競馬の矢作和人元調教師。開成高を卒業後、豪州での修業を経て84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て2005年に厩舎開業。17日現在、JRA通算714勝、重賞50勝(うちGI13勝)。ほかに海外GI3勝、交流GI3勝。
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