「
有馬記念・G1」(24日、中山)
“現役最終追い切り”でも、己の
スタイルを貫いた。G1・6勝馬
キタサンブラックは20日、栗東CWで併せ馬。序盤をゆったりと入ったために全体時計は目立たなかったが、きっちりと貫禄の先着を決めた。同じ中3週の前走時は2本の追い切りで臨んだが、今回は倍の4本と悔いなき仕上げで臨むラストラン。有終Vで、歴代最多タイのJRA・G1・7勝目を狙う。
ラストランを前にしても、やるべきことはこれまでと同じ。
キタサンブラックの最終リハは、いつも調教にまたがっている黒岩(レースは
武豊)を背に、朝一番の栗東CWで
ビップレボルシオン(6歳1000万下)との併せ馬。6Fで僚馬の2馬身後方から発進し、直線では外から馬なりのまま並び掛ける。最後は気を抜かせないように手綱を押されると、力強く末脚を伸ばす。6F86秒1-39秒9-12秒6の時計で半馬身先着だ。
鞍上は「いつもと変わらずです。ちょっと促すくらいでしたが、シュッと反応してくれました」と納得の表情を浮かべる。序盤のペースが遅く、全体時計こそ平凡だが、「先週ビシッとやって、普段からキビキビとしたいいキャンターになってきた。馬の雰囲気重視でいいと思う」と不安を一掃する。
集大成の一戦だ。同じ中3週の間隔だった
ジャパンC3着時は2本だった中間の追い切りを、今回は4本に。清水久師は「(前走で落鉄もあったが)スムーズに乗りだせたし、全く影響はない。満足のいく仕上げができた」と胸を張る。最後の追い切りを迎えたこの日の朝も調教1時間前に厩舎を出発し、追い切り後は約40分間の引き運動。繰り返されてきた丹念な準備運動とクールダウンが、大きな故障もなく、現役最終戦を迎えるG1・6勝馬の支えでもあった。
「一度も考えたローテを変えることなく、つらい調整にも耐えてくれた。一生忘れられない、いい馬に巡り合えて感謝したいです」と指揮官は目を細めるが、まだ感傷に浸るつもりはない。「ファン投票1位に選んでもらいながら、なかなか結果を出せていない。最後は何とか結果を」と表情を引き締めた。
北島三郎オーナーからは「変わりないか?」とだけ聞かれ、師は「順調です」と伝えた。「任せてくれるのでありがたい」と感謝するが、そこには大きな責任が伴っていることも理解している。
勝てば、史上最多タイのJRA・G1・7勝目。
テイエムオペラオーを超える歴代賞金王の座も手にする。待望の
グランプリ初Vを決め、ファンの記憶だけでなく日本競馬の記録にもその名を刻み込む。
提供:デイリースポーツ