まずは無事にレースが行われてよかった。中央との交流レースはさまざまな事情で代替開催が難しい。月曜日の大雪の影響で火曜日は馬場のコンディション不良で全レース取止め。そしてこの日は馬場凍結による走路整備のため前日のうちから第1~3レースの取止めが
アナウンスされていた。そして予定通り、第4レースからは無事にレースが行われることとなった。
融けた雪や除雪によって砂が流れ、その後、馬場を整備しての開催だけに、普段と馬場状態は違っていたと思われる。そうした中で勝ったのは、直線先頭に立って後続を突き離した
ミッシングリンク。「今日(の馬場)は内が伸びないと思っていたので、逃げにこだわらなくていいかな」と、鞍上の
戸崎圭太騎手と話していたという
斎藤誠調教師の読みがズバリ当たった。直線では馬場の4馬幅ほどのところを突き抜け、2着の
ブランシェクール、3着の
ラインハートは、さらに外から伸びてきた。そして上位3頭は12、14、11という馬番だった。
先行する可能性のある馬が多く、内から順に、
オールポッシブル、
ララベル、
プリンシアコメータ、
ミッシングリンク。スタート後はその4頭が前を占め、枠順の関係もあったのだろう、2番枠の
オールポッシブルが逃げる形になった。先行争いにはならず1、2コーナーでほぼ隊列が決まり、最初の3F通過が37秒4、1000m通過が62秒8という、ゆったりした平均ペース。おそらくほとんどの馬が能力を発揮できる流れだったと思われる。
しかし逃げた
オールポッシブルは4コーナー手前で一杯になって後退。昨年のこのレースを制した半姉の
ワンミリオンスも同じように1400mを中心に使われてきて、ここが初めての1800m、さらに2100mの
エンプレス杯まで制した。しかし父が
ゴールドアリュールから
ダイワメジャーに変わったこともあって、
オールポッシブルは距離延長には対応できなかったようだ。地方は今回が初めてなだけに、馬場が合わなかった可能性も考えられる。
そして注目となったのは、単勝1.4倍の断然人気に支持された
プリンシアコメータだが、結果は6着。地方での近2走はともに逃げて、
JBCレディスクラシックがほとんど勝ちに等しい内容での2着で、
クイーン賞は逃げ切り圧勝。今回は5番手あたりに控えての追走で、4コーナーでは
ララベルの内を突いて先頭に立ちかけたものの、直線半ばで失速してしまった。逃げたのは
JBCレディスクラシックが初めてで、それまでは好位追走で結果を出していた。ただ専門紙に掲載されていた調教師のコメントでは「揉まれ弱い面が解消されて……」とあった。ほとんどの馬が折り合うなかで前に馬を置き、そして向正面で外から
ブランシェクールが一気に位置取りを上げていったあたりでは馬群に囲まれる形になり、力んで走っているように見えた。前走、前々走はマイペースでの逃げでのびのびと走っていたが、今回の走りは違っていた。直線、馬場が重い内に進路をとったぶんもあったかもしれない。
2着の
ブランシェクールは、中団追走からペースが落ち着いた向正面で一気に位置取りを上げていったこと、さらに道中で外々を回ったことで最後までしっかり脚を使うことができた。
3着は大井の
ラインハート。上り3F最速は勝った
ミッシングリンクの38秒4で、2番めが
ブランシェクールと
ラインハートで38秒7。同じ大井の外回り1800mが舞台だった
JBCレディスクラシックでもきわどい3着に追い込んだように、長く脚を使うこの馬に、大井の長い直線は向いている。
JBCレディスクラシックを制した
ララベルは4着。2番手追走から直線を向いての競り合いとなったが、最後は勝ち馬から6馬身ほど離された。別定57kgは浦和・
しらさぎ賞を勝っているとはいえ、中央馬相手で他馬より2kg以上重い斤量はやはり厳しい。
JBCレディスクラシックのときも内に刺さって
プリンシアコメータに接触して審議となったが、今回も直線での競り合いとなったときにフラフラしていた。チークピーシーズをつけているのは、そういうところがあるのかもしれない。すでに伝えられてはいたが、レース後、荒山調教師に確認したところ、やはりラストランはフェブラリーSとなる。
牝馬のダート
グレードは、よほど抜けた実力の馬でもいない限り、中央馬はダートの1000万条件を勝ったレベルなら勝負になる、というのは何度も書いてきたとおり。ただ1000万条件勝ちといっても玉石混交。そこが能力の
ピークという馬もいるし、1000万条件を勝ったあとに準オープンで上位争いがあるレベルなら勝ち負けになる可能性はより高い。
そしてそのレベルでの争いであれば、昨年の
レディスプレリュードで8馬身差の圧勝を見せた
クイーンマンボが万全の状態で戻ってくれば、再び独壇場となることだろう。