「夏がいい休養になったようで、この中間はカイバをしっかり食べてくれるようになりました。普段は女の子らしくて、すごく可愛いんですよ」と今野厩舎の櫨山助手。
アールドヴィーヴルはちっちゃな身体でも最後にすごい脚を使って追い込んでくる女の子というイメージ。気持ちも勝ち気なんだろうなと思っていたのですが、厩舎で見せていただいた彼女は?超癒し系?で、櫨山助手にすり寄っていく様子から、きっと普段から可愛がりまくられているのだろうと想像できました。
「苦労してきたところ…と言えばやはりカイ食いですね。お母さんのイサベルとそっくりみたいで、角居厩舎時代に彼女をよく見ていた辻野調教師は、アールドヴィーヴルのことをよく気にしてくれているんです。他厩舎の馬っていわばライバルじゃないですか。だから嬉しかった」
イサベルは名門・角居厩舎の中でも、相当に期待されていた素質馬だったと聞きました。志半ばで引退となりましたが、今は繁殖牝馬のお母さん…。辻野調教師を直撃してみました。
「そうなんです。すごくカイ食いに苦労した子で、アールドヴィーヴルを見たときにそっくりだなと思って。でもこの中間はしっかり食べてくれているようで、良かったなあ、頑張ってほしいなという気持ちです」
イサベルの名前を出した途端、顔がほころんだ辻野調教師。本当に思い入れの強い子だったんだな、と実感しました。
「イサベルとアールドヴィーヴルのオーナーさん(近藤英子オーナー)は競馬に対して信念を持っておられる方で、ズバ抜けているはずのポテンシャルをなかなか出し切れないでいるイサベルが4歳の時点で繁殖にあげることを決断されました。最後のレースは1600万下とはいえ、身体を減らしながらあのネオリアリズム(後に海外GIを制覇)の2着ですよ。能力が出せていたらどれほどまでになったんだろう、と今でも思います」
「力を出させてあげられませんでしたから。でも、イサベルはお母さんになって、その才能を子供たちに受け継がせてくれていると思います。アールドヴィーヴルに、吉岡厩舎のアカデミー、うちには今フアナがいて、その下にはロードカナロアとの子サファイアがいますね。どの子もすごくいい馬。やはりオーナーさんの決断は間違っていなかったのだと思いますし、イサベルが取れなかった重賞のタイトルを子供たちで取れたら…それほど嬉しいことはないです」
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