午前の調教終わり。馬房で休む馬の様子に目を配らせながら、穏やかな表情でスタッフに声を掛ける。二本柳俊一調教師(70)=美浦=が33年間続けた、この生活も残りわずかとなった。
「顧みれば長いようで短い、駆け足の調教師人生でした。これまで成績を残せず、お世話になった馬主の方々の期待に添えず申し訳ない。それでも長い間支援してくださった。深く感謝しています」。無念の思いはあるが悔いはない。ここまでJRA通算182勝(うち重賞2勝)。91年春には
中山大障害を
シンコウアンクレーで勝ち、同年の京王杯AHを
バリエンテーで制した。
JRA競馬殿堂入りした父・俊夫元調教師の後継として84年に免許を取得。85年の開業から定年まで厩舎を経営してきた。「厩舎(経営)はバトルですから。スタッフは一生懸命、身を粉にして戦ってくれた。大きな事故もなかった。ありがとうと言いたい」。今週は21日時点で中山&小倉に6頭がスタンバイ。JRA最終週を悔いなく締める。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ