九谷焼の販売卸売業「九谷陶泉(とうせん)」(小松市)と石川県工業試験場が連携して製作した馬の置物が、日本中央競馬会のGIレース第62回宝塚記念の優勝記念品に採用された。
6月のレースで優勝した「クロノジェネシス」号の毛色は、伝統的な九谷焼の技法で表現するのが難しく、同試験場が研究を重ねて「新色」を完成させた。関係者は伝統工芸品の新たな可能性に期待を寄せている。
「宝塚」の優勝記念品に
「ロディ」で愛らしく
クロノジェネシス号をイメージした九谷焼の置物は、イタリア生まれのおもちゃ「ロディ」をかたどった愛らしい作品に仕上がった。光沢ある濃い灰色を基調に、成長や繁栄の象徴とされるひし形や星柄をあしらった。11日までに約100体を製作し、同馬の出資会員ら関係者に発送した。
ロディは、イタリアのレードラプラスティック社で製造されている乗用玩具(がんぐ)で、九谷陶泉はライセンス管理を行うJAMMY(ジャミー、東京)と契約を結んで2015年から九谷焼ロディを取り扱っている。
九谷陶泉の山元歩専務によると、九谷五彩と呼ばれる緑、黄、紫、紺青、赤の絵の具を使った作品が一般的で、馬の毛に近い色を出すのに苦慮した。昨年12月のG?レース第65回有馬記念でクロノジェネシス号が優勝した際にも九谷焼ロディを記念品とする計画があったが、色味を再現できず断念した。
そこで県工業試験場九谷焼技術センター(小松市)に協力を依頼。木村裕之主任研究員が複数の顔料を調合し、試作を繰り返した。16種類のサンプルを作り、発注元であるサンデーサラブレッドクラブ(東京)に色合いを確認してもらって決定した。今年6月の宝塚記念でクロノジェネシス号が再び優勝し、念願の記念品として採用された。
生地は宮創(みやそう)製陶所(小松市)が手掛け、九谷焼伝統工芸士の糠川(はせがわ)孝之氏が絵付けした。九谷陶泉の山元専務は「九谷焼の市場開拓につながる一歩になる。世界に通用する九谷焼を作っていきたい」と語った。
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