21日の水沢競馬開幕を皮切りに、いよいよ本格的な岩手競馬のシーズンが始まる。今シーズンの水沢は、3月の特別開催から冬の1月開催まで、12開催で計69日間行われる。スピードが求められる盛岡競馬とは異なり、
パワーが要求されるのが特徴だ。
一周1200mの平坦コースだけに逃げ、先行有利は当然。施行距離は850m、1300m、1400m、1600m、1800m、1900m、2000m、2500mの8つだが、大晦日に行われるファン選抜レースの
桐花賞や全国の3歳強豪が集まるダービー
グランプリ(11月)、岩手競馬の伝統の一戦、
一條記念みちのく大賞典や岩手ダービー・
ダイヤモンドカップ(いずれも6月)、今年で50回目を迎える
不来方賞(10月)と、主だったレースはいずれも2000mで行われる。近年は短距離路線が整備されたことで、昨シーズンより850m戦は2歳戦以外にも3歳や古馬の各クラスでも行われるようになり、スピード自慢の活躍馬も出るようになった。
同じ岩手競馬でも、盛岡と水沢で大きく異なるのがコースレイアウトだ。盛岡は内側に芝コースがあり、実際に芝のレースも組まれているが、水沢はダートコースのみ。距離にしても、マイル戦は盛岡の場合はワンターンであるのに対し、水沢は4角奥の引き込み線からスタートして1周する。そのぶん、スピードが乗りにくく差し、追い込みタイプが追走しやすい。そのため、水沢の千六では盛岡で結果の出なかった馬が一変して、大きな配当をもたらすケースも目立ち、とくに穴党にはオススメだ。
ちなみに距離別の連対率を見てみると、昨シーズンは1300mと1400mでは1番人気の連対率は68%超。複勝圏内まで広げると82%まで上昇し、馬券の軸には最適といえる。多く組まれているマイル戦はコース形態による有利不利が明白。内枠に入った先行馬なら多少スタートをミスしても挽回できるが、外枠に入った先行馬は頭数が多ければ、位置取りに無理に脚を使わされるぶん、意外な惨敗も見られ、1番人気の連対率も60%まで低下している。
そして、少し気の早い話になるが、岩手競馬を語る上で外せないのが冬場の馬券対策だ。とくに冬12月半ば以降は気温や雪などによる馬場の凍結があり、検討は一段と難しくなる。走破時計や当日の傾向、レース解説者の話を参考にいち早く馬場状態を読むことが大きなポイントだ。この時季に年に一度、2500mで行われる
北上川大賞典は前述したポイントに加え、長丁場だけにジョッキー同士の駆け引きも見逃せない。
今は
グレード競走の開催こそないものの、水沢は馬との距離も近く、肉眼でレースの流れがわかるほど。少し足を伸ばせば、世界遺産・中尊寺金色堂があり、厳美渓や猊鼻渓といった日本屈指の渓谷美の名所も存在する。観光がてら、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。(文=競馬専門紙『岩手
ケイシュウ』編集長・峯村正利)
『岩手
ケイシュウ』峯村正利記者の水沢
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