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【矢作調教師】「挑戦なくして栄光なし!」

  • 2021年11月10日(水) 20時57分
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 ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌのBC競走出走に際して日本から多くの声援を頂き、またレース後は数えきれないほどの祝辞を受け取った。紙面を借りて心から御礼申し上げたい。

 今回の遠征のキーワードは「チーム」に尽きる。2頭の牝馬は日本から輸送も調教もずっと仲良く行動をともにし、それに現地でポニーのロコが加わって3頭のチームになった。ロコはレース直前のゲート裏まで2頭に付き添い、彼女たちに精神的な安定をもたらした。海外遠征に来て、レース前までこれほど平常心だった牝馬は見たことがなかった。その精神的な落ち着きが勝因のひとつだったことは疑いようがない。

 人もまた素晴らしいチームであった。アメリカ遠征は初めてでも、春のドバイから香港そして今回と同じメンバーで挑めた事実が大きかった。彼らは海外遠征にありがちな数多くのトラブルや無理難題を的確にクリアし、日本で走る時以上の状態に馬を仕上げてくれた。調教師として感謝しかない。

 ラヴズオンリーユーは今までの走りから、このメンバーでも力が上だと考えていた。川田騎手には「強気の競馬を!」と指示。展開は思い通りにはいかなかったが、そのぶん馬の強さが際立ったし、騎手のガッツもすごかった。マルシュロレーヌは「ラヴズの帯同馬」とまで言われて心が痛かったが、芝でも持ち時計が速いダート馬を連れて行くという信念は揺るがなかった。

 ノーザンファームの鶴町獣医師と2人で最後まで悩んだスパイク鉄の選定も良い結果に結びついたし、オイシン・マーフィーと立てた「勝つならハイペースに乗じたまくり差し」という作戦で最後のピースが埋まった。インタビューで「仕掛けが早い」と語ったが、後からビデオを見るとあのタイミングしかなかったように思う。さすが英国のチャンピオンジョッキーという騎乗であった。

 「挑戦なくして栄光なし!」。これからも緻密な計画に基づいたチャレンジを続けていきたい。


■矢作 芳人(やはぎ・よしと) 1961(昭和36)年3月20日、東京生まれの60歳。父は大井競馬の矢作和人元調教師。開成高を卒業後、豪州での修業を経て84年に栗東トレセンへ。厩務員、調教助手を経て2005年に厩舎開業。9日現在、JRA通算723勝、重賞51勝(うちGI13勝)。ほかに海外GI5勝、交流GI3勝。
ネタ元のURL
https://race.sanspo.com/keiba/news/20211110/etc21111004560001-n1.html

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