ドバイワールドCデイのG1
ドバイゴールデンシャヒーン(d1200m)の上位3着まで北米調教馬が独占したように、水準が高く層も厚いのが北米におけるダート短距離部門だが、そこにまた、底知れぬ潜在能力を持つニュースターが出現した。7日にニューヨーク州のアケダクト競馬場で行われたG1カーターH(d7F)を6.1/4馬身差で快勝したアーミー
ミュール(牡4、父フリーサンファイア)がその馬だ。
ファシ
グティプトン・ミッドランテイック2歳市場にて82万5千ドル(当時のレートで約9350万円)という高値で購買され、T・プレッチャー厩舎に入厩したアーミー
ミュール。3歳となった昨年の4月30日にベルモントパークのメイドン(d6.5F)でデビューし、ここを8.1/2馬身で制して緒戦勝ちを果したが、その後は膝の故障で戦列を離れることになった。
今年1月31日にガルフ
ストリームパークで行われた条件戦(d6F)で7カ月振りに復帰し、ここも7.1/2馬身差で快勝。陣営が同馬の3戦目に選択したのが、7日のカーターHだった。
すなわち、重賞初挑戦で、しかもキャリア2戦だったにも関わらず、道中4番手追走から4コーナーの出口で先頭に立つ危なげないレースぶりで完勝。2着に入ったオウサムスルー(牡5、父オウサム
アゲイン)は、重賞3勝馬で、前走G1BCダートマイル(d8F)3着という実績馬だったから、これに6.1/2馬身をつけたアーミー
ミュールの力は「本物」と、誰もが認めることになった。
プレッチャー師はレース後、今後は6月9日にベルモントで行なわれるG1
メトロポリタンH(d8F)を目標に調整を進めると表明。アーミー
ミュールの快進撃がどこまで続くか、今後のアメリカ競馬における大きな楽しみになった。
(文:合田直弘)