ビッグレースになるほど、馬より人の役割が占める比重が大きくなる。改めてそれを感じさせたのが、
エポカドーロが制した先週の
皐月賞だ。
デビューから最速上がりは皆無。そんな同馬の決め手不足を、鞍上・
戸崎圭太は位置取りで補った。先行する3頭を無視し、決め手ある後続を真っ先に殺しに行くペース配分。それが10馬身以上の隊列の分断を生み、ラ
イバル15頭を支配する流れをつくった。見事というほかない。
さて、人の比重という意味で今週注目しなければならないのは、京都・
マイラーズC(22日)に出走する
ヤングマンパワーも同様である。
「持ち味はスピードの持続力。それゆえに大負けがない半面、スパッと切れる脚もない。そこで毎回ポジショニングと展開がカギになるんだ」
森信次郎厩務員の言葉通り、昨年はGIを除く重賞4戦で6,3,4,5着。その最大着差0秒4と常に接戦を演じながらも、善戦マンから脱却できない現状が続いてきた。前出
エポカドーロ同様、ひと工夫が必要なタイプであろう。そして今回のキーパーソンが初コンビを組む
岩田康誠となる。
「当たりの柔らかい石橋から馬を動かすタイプのジョッキーに替わって、新味が出てくれるといいんだけどね。典型的な夏馬だけど、気温の上昇につれ毛ヅヤも良くなり、3着した昨年と変わりないデキで出せそうなので」(同厩務員)
一昨年のGIII富士S以来、勝利から遠ざかること1年半。すでに馬名が似つかわしくない年齢(6歳)になったが…。実は昨年と異なる2つの状況が変身の期待を大いに高めている。
「致命的でないにせよ、ずっとノド鳴りを抱えてきた馬。それが
マイルCS後に手術をしたことで、中間は調教でも音がしなくなっている。さらに栗東に滞在する今回は、長距離輸送による馬体減りの不安も軽減。これで最後の踏ん張りが変わってこないかな」と森さん。ちりばめられた様々な人のサポートが“オールドマン”に新たな
パワーを注ぎ込むのだろうか。
ちなみに今週まで栗東に居残る
桜花賞5着馬
マウレアに関しては「レース後すぐに馬体が回復していい雰囲気。戸崎、
武豊の両ジョッキーが
オークス向きと口にすることに可能性を感じている」とのこと。まずは
マイラーズCで好結果を、そして来週美浦で笑顔の再会となれば幸いである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ