「天皇賞(春)・G1」(29日、京都)
岩田の真骨頂が飛び出した。直線最内へ潜り込んだ2番人気の
レインボーラインが、先に抜け出していた1番人気
シュヴァルグランをゴール寸前で首差とらえた。10度目のG1挑戦にして初の
ビッグタイトル奪取。岩田自身も15年
桜花賞以来、3年ぶりのJRA・G1制覇となった。だが、レース直後に鞍上が下馬するアク
シデント。右前肢ハ行と診断されて大事には至らなかったが、この日を待ちに待っていた関係者にとっては、複雑な戴冠式となった。
早めに先頭に立った
シュヴァルグランに狙いを定め、思い切って岩田が進路を内に取る。それに応えてグングン末脚を伸ばす
レインボーライン。「手応えは残っていた。何とかなる。頑張ってくれ!」-。そして最後の最後に、メンバー唯一のG1ホースを首差とらえた。
ところが、ゴールした直後に予期せぬアク
シデントが待っていた。「右前脚の歩様が乱れて痛そうだったから」と岩田はすぐに下馬。騒然とするスタンド。ウイニングランもできずに馬運車で運ばれた。「うれしいのはうれしいんですけど、馬のことが心配で…」。殊勲の鞍上は素直に喜べない。応援したファンも含めて、誰もが勝者不在となったターフを見つめていた。
昨春の盾は、Mデムーロとのコンビで12着に大敗。それを受けて再び手綱を任された岩田は、中間のケイコにも積極的にまたがるなど、パートナーとの絆を徐々に深めていった。それが前走の
阪神大賞典で久々の勝利へとつながり、「昨年とは全然違う。別馬のようだ」とまで言い切った今回、最高の形となって表れた。少なくともゴールした瞬間はそうだった。「3、4コーナーで人気どころが仕掛けたが、こちらは1拍置いて追いだした。馬自身が我慢してくれていました」。自身にとって15年
桜花賞(
レッツゴードンキ)以来のJRA・G1制覇。「すごく長く感じた」と、3年ぶりの栄冠に胸の内を明かしたが、当然のことながらそこに笑顔はない。
第157代天皇賞馬の診断の結果は右前肢ハ行。栗東トレセンへ戻ってから再び検査されることになる。浅見師は「着順は最高でしたが、レース後の馬の状況が状況なので心苦しいです。次に向けて、何とかケアしてあげたいと思います」とコメント。再びファンに元気な姿を見せる日を待ちたい。
提供:デイリースポーツ