コロナ禍で競馬の無観客開催が続いた2020年。各地の地方競馬場で営業を続けてきた飲食店にとっても、生活の糧を奪われる苦境の始まりだった。それぞれの地方競馬場に、それぞれ特色のある「ギャンブルめし」があり、それが魅力のひとつでもあった。店ごとに味付けの異なるもつ煮、川崎のタンメン、浦和の黄色いカレー、金沢の寿司、高知のアイスクリン、佐賀のなんでも焼く店...。その中でも、全国に知られた盛岡競馬場の名物として、「ジャンボ焼き鳥」がある。手にずっしりと、食べる前から感じられる食べ応えと、ジューシーな鶏肉を引き立てる特製一味塩。盛岡と言えばジャンボ焼き鳥、と南部杯やJBCといった大レースの開催日には長蛇の列ができる定番中の定番であった。
そのジャンボ焼き鳥を販売する「鳥喜」(とりっきー) でも、無観客競馬が続いたことで、経営危機を迎えていた。そんな中、各地の名産品を通信販売するプラットフォーム「47CLUB」でジャンボ焼き鳥を販売する、という決断を下した。その模様は、当時岩手競馬のリリースやニュースに取り上げられている (http://www.iwatekeiba.or.jp/news/200528i-2)。閉塞感の中、競馬場を感じられる味、ということで全国の競馬ファンが歓迎し、販売開始から多くの注文が寄せられたそうだ。筆者も注文し、家族で焼き鳥ともつ煮を楽しんだ。岩手の専門紙を同封してくれたことも、きっとまた盛岡に、という思いを強くさせるものだった。
しかし、これまで競馬場での対面販売だけで営業してきたため、ネット通販というビジネス形態には不慣れで、注文の受付、個包装、全国への配送、決済処理など新しい作業に大変な苦労をしたということだ。それを乗り越え、47CLUBにおける「岩手県の味」の定番になった (2/28時点のランキングでも焼き鳥3位、もつ煮4位) 鳥喜の取り組みが、「通販初心者が半年で売上3桁万円を達成した秘訣」と題し、47CLUBの成功例として取り上げられている。2月に開催されたイベントにおける店主・喜 良彦氏の講演が動画として公開されている。
ビジネス向けの講演なので、ユーザー登録がやや面倒だが、「盛岡のジャンボ焼き鳥」がどのように危機を乗り越え、競馬を超えた「岩手の名物」になったかがわかる興味深い内容なので、ぜひ視聴されてはいかがだろうか。
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