サウジアラビア出身で最も著名なホースマンはフランケルやエネイブルを生産所有し、昨年1月に亡くなったカーリッド・アブデュラ殿下であることに間違いないでしょう。
26日のG1サウジCを制したエンブレムロード(牡4、父クオリティロード)の母ヴェンチュリーニは、そのアブデュラ殿下が米国で生産所有した馬でした。
ヴェンチュリーニはG1・4勝の名牝ヴェンチュラの娘で、チャンピオンのバーナーディニが交配されて誕生したエリート牝馬でしたが、体質が弱くデビューを待たずに引退。その後、セリを通して米国の生産者に6万2000ドル(約682万円)で売却されました。
ヴェンチュリーニが産んだエンブレムロードを1歳時のセリで23万ドル(約2530万円)で落札したのはニューヨーク・ヤンキースの名物オーナーだった故ジョージ・スタインブレナー氏の競馬法人で、娘のジェシカが継いだ「キンスマン」でした。
エンブレムロードが、このまま米国でデビューしていれば、運命は違ったものになっていたのかも知れません。転売を目的に上場された2歳のトレーニングセールで売れ残ってしまった同馬はその後、エージェントを通じてドバイの馬主に売却されます。
2歳時の20年11月にサウジアラビアでデビュー(3着)して、昨年8月に現在のサルマン王子の所有となりました。サウジC直前の今年1月、地元重賞キングファイサルCも制して通算8戦6勝で大舞台に臨みました。レースは米国に残ったとしてもトップに上った馬だったのだろうと思わせる強さでした。手綱を取ったサウジのチャンピオンジョッキーのW・ラモス騎手は「彼はクラスの違う馬」と、さらなる活躍を予言しています。
最新のタイムフォームレーティングでは世界でもトップクラスの125を獲得して、26日に行われるG1ドバイワールドCに矛先を向けています。アブデュラ殿下の生産した馬が巡り巡って祖国に栄冠をもたらしたのは、何とも不思議な巡り合わせと言うしかありません。
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