中央競馬の歴史に新たな1ページが刻まれた。25日の新潟12Rで
セイウンリリシイが勝利し、藤田菜七子騎手(21)=美浦・根本=が、JRA通算35勝目をマーク。JRA女性騎手最多勝記録を更新した。デビューからわずか2年半でのスピード記録達成。今年の6月17日にG1騎乗が可能となる31勝(JRA所属馬による
地方競馬の2勝を含む)に到達しており、次はG1初騎乗の期待が膨らむ。
迷いはなかった。新潟最終12R。好発を決めると、藤田菜七子が2番人気
セイウンリリシイとともに風を切る。思いのほかペースは速い。それでも相棒には余力があった。ラ
イバル17頭を引き連れて直線へ。後続が襲い掛かるが、差は詰まるどころか広がるばかりだ。あれよあれよという間に4馬身差をつけてゴールに飛び込んだ。JRA女性騎手最多となる35勝目。
中央競馬の歴史にさん然と輝く金字塔を打ち立てた瞬間だった。
JRA女性騎手で初の一日2勝を挙げ、増沢(旧姓・牧原)由貴子元騎手と並ぶ記録を達成した先週からはや1週間。
メモリアルVに、ウイナーズサークルでは多くのファンが出迎えた。スタート直後の内側斜行で過怠金5万円の制裁を科せられたとあって「周りに迷惑をかけてしまったことが悔しいです」と反省を口にしつつ、「いつも以上に声援が聞こえてうれしかったし、ありがたかったです」と感謝の気持ちを伝えた。
デビューからわずか2年半での記録達成。16年はJRA年間6勝で、翌17年に14勝をマーク。今年は8月末に早くもJRA年間15勝に到達し、昨年に自身が塗り替えた女性年間最多勝も更新した。「どこもまだまだ未熟と感じています。うまく乗れたと思うことは少ないですし、ジョッキーをやっている間は自分を褒めることはないと思います」。現状に満足することはない。目線は常に上だ。
女性ジョッキーとしての35勝は新記録。ただ、男性を含めたひとりのジョッキーとしては物足りなさを感じている。「良かったと思う部分と、まだまだ35勝しかしていないと思う部分はあります」と口元を引き締め、「あくまでも通過点だと思っています。これからも目標は変わらず、次の1勝を目指し、それを積み重ねていきたい」と改めて意気込みを語った。この日、つかんだ勝利は決してゴールではない。菜七子の飽くなき挑戦はこれからも続いていく。
提供:デイリースポーツ