「新馬戦」(14日、京都)
注目馬の登場だ。今年のダービー馬
ワグネリアンの全弟
カントル(牡、
父ディープインパクト、栗東・藤原英)が、日曜京都5R(芝2000メートル)で、ついにベールを脱ぐ。
夏の函館でゲート試験に合格し、放牧を経て、8月23日に栗東へ入厩。担当の増井助手に第一印象を聞くと「“人に愛されてきた馬だな”と感じました。人なつっこくて、警戒心がない。大事に育てられてきたのでしょうね」と、牧場サイドの育成に敬服していた。
だが、調教を進めるごとに持って生まれた本性が姿を現してきた。「基本的には扱いやすいのですが、我の強いところが出てきましたね。“嫌なものは嫌”。それもすごく頑ななんです」と苦笑する。それでも、我の強さは幾多の名馬の共通項でもある。「無理に押さえ込まず、その部分は残していきたいですね」と今後も伸び伸びと育てていく方針だ。
3日にはM・デムーロを背に、栗東CWで6F81秒3-37秒8-12秒2を計時。厩舎の先輩
ステファノス(牡7歳)と併せて互角の動きを披露した。「ミルコは“兄とは違うね。切れるというよりは、長くいい脚を使う”と。走りに対しては真面目。ここまでは順調です」。持続性のあるスピードを生かして初戦突破を目指す。
母ミスアンコールは北海道胆振東部地震の犠牲となり、急逝。ノーザン
ファーム出身の増井助手は「北海道がこういう状況ですからね。この馬が走ることによって、元気が出てくれれば」と復興への願いを込める。ラテン語で“歌手”を意味する
カントル。凱歌をあげて、被災地に勇気と希望を届けたい。
提供:デイリースポーツ