<5100>。この鮮やかな数字は堀厩舎の現2歳の成績を示す。新馬戦で唯一2着に敗れた
ミディオーサ(牝)は2戦目で未勝利勝ちを決め、デビューした5頭が全て勝ち上がる驚異的な快進撃だ。好調の要因を探るべく森助手を直撃すると、「ゲート試験を受けた後、そのままデビューまでいけるのか、放牧に出した方がいいのかを見極めながら調整していく。まあ、そこは例年と何も変わらないんだけどね」。
最近の取材でモレイラの勝ち星量産に「彼のうまさは限りなく基本に忠実なところ」と評する調教師がいたが、それと同じで堀厩舎の基本的な
スタイルは何も変わっていないのだろう。“当たり前のことを当たり前にやるだけ”。このブレない方針が根底にあるように思う。
もっとも、勝ち上がった5頭全てが前評判の段階で絶対的な能力を見せていたかとなると、そうでもない。とりわけ、土曜(20日)のアイビーS(東京芝1800メートル)に出走する
カウディーリョ(牡)のデビュー戦(札幌芝1800メートル)は1番人気とはいえ、モレイラが騎乗しながら単勝オッズは4.0倍と、いわば“押し出された”人気。実際、当時の最終追い切りは3歳未勝利馬に追い比べであっさり遅れる始末で、陣営の評価も「気を抜く面があって子供っぽさが残る」と控えめなものだったのだが…。フタを開けてみれば、あっさりの完勝。「堀厩舎の中では“イマイチ”でも、通常レベルではA級」と改めて学んだ次第である。
そもそも、
カウディーリョは重賞3勝の
ディアデラノビアを母に持つ
キングカメハメハ産駒で血統背景は文句なし。ここでしっかり結果を出すようなら一躍クラシック候補に躍り出ることのできる素材だ。
「札幌から帰ってきて9月(中山3週目の
芙蓉S)に使うプランもあったけど、パスして放牧を挟みました。落ち着きが出て調整は順調。デビュー当時の(追ってから)頭を上げるような面も解消されていますね。ただ欲を言えば、もう少し体が増えてほしいというか、成長途上の印象もあります」と森助手。
初戦同様、陣営の評価は“自信あり”とまではいかないが、課題のある中でも、しっかり結果を出してくるのが堀厩舎が名門たるゆえん。無傷の連勝なるか注目…で本来は締めるところなのだが、価格でいえば堀厩舎の“真打ち”と呼べる2歳馬が同日にデビュー(東京芝2000メートル)を迎えるとなれば、触れないわけにはいくまい。
サトノジェネシス(牡=
父ディープインパクト、
母マルペンサ)は16年セレクトセールで当歳馬の最高価格タイとなる2億8000万円(税抜)で落札された。あの
サトノダイヤモンドの全弟だ。
こちらもゲート試験後の放牧を挟んで最初の追い切りを行った時の取材(9月27日)では「動きはまだまだ。体に緩さがあるし、
テンションも高いし…成長途上ですね」と価格相応の高評価とは言い難かった。それでも、その後は順調な調整を重ね、モレイラが騎乗した11日の1週前追い切りでは同厩の
クラシコ(古馬1000万下)相手に3馬身の先着を果たしてみせた。
「1本目はあまり動けませんでしたが、追うごとに良くなってきましたね。まだ精神的な未熟さや馬体に緩さがあるとはいえ、しっかりと調教はできています」とここにきて及第点以上の評価に変わってきたとなれば、絶好調の堀厩舎2歳勢にあって“真の真打ち”になる可能性も十分だろう。
果たして堀厩舎の快進撃はどこまで続くのか。今週末の2頭の走りが、来春のクラシックのカギを握る気がしてならない。
(立川敬太)
東京スポーツ