GIII
アルテミスS(27日=東京芝1600メートル)は12月9日阪神JFに直結するレース。昨年の勝ち馬
ラッキーライラックは見事2歳女王に輝き、一昨年の勝ち馬
リスグラシューも2着に好走している。そして、その2頭はともに関西馬――。
というわけで、今週は
アルテミスSのために東上する関西馬の取材をしておけば、当コラムは役割を全うできると考え、前走の未勝利戦で2着を6馬身も突き放す圧勝を決めた
エールヴォア(橋口)の取材を順調に進めていたのだが…。残念なことに(?)そうもいかない状況になってしまった。
同日のオープン・萩S(京都芝外1800メートル)で復帰する
サートゥルナーリア(牡・中竹)。コイツがマジでヤバくなってきたからだ(もちろん、いい意味で)。
サートゥルナーリアといえば、
菊花賞と
ジャパンCを勝った
エピファネイア、
朝日杯FSを制した
リオンディーズの半弟という血統馬。ゆえに関係者との会話も兄との比較論になりやすい。先週もそうだった。
「ウチの厩舎(角居)にいた馬でいえば、
エピファネイアの
パワーがダントツでしたね」と振り返ったのは辻野助手。それは同感。東京芝2400メートルで折り合いを欠いたまま、GIを押し切ってしまった馬なんてほかに見たことがないし、これからも見ることはないだろう。
「でも
エピファネイアは人の力で制御できないところに問題がありまして。人の力どころか、自分自身でも能力を抑え込むことができない。そんな状態でずっと走って、結果まで出していたんだから、持っている身体能力がズバ抜けていたっていうことなんでしょう」
まったく完成されないまま、GI2勝がともに楽勝。ちなみに絶好調と伝え聞いていたレースも数少ない。下手したら近年最強馬? それは極論かもしれないが、ここまで破天荒な馬は今後も簡単には出てこないことだけは確かだ。
で、肝心の
サートゥルナーリアである。
「いや、コイツもすごいですよ。持っているポテンシャルが他の馬とは違う」と辻野助手。そうはいっても、
エピファネイアほどの
パワーはないんでしょ?
「そう聞かれれば、その通り。
エピファネイアほどの
パワーはありません。ただ、この馬は走り自体は軽い感じがするのに、反対の
パワーも持っていて、しかもそれが相当なレベルにあるんです。
エピファネイアと違うのは爆発しそうな雰囲気があるにもかかわらず、人間のコントロールが利くというか、我慢ができるところ。そういう意味では
エピファネイアよりも
リオンディーズに近いですね。でも
リオンディーズよりも、おそらく
サートゥルナーリアのほうが切れますよ」
先週の月曜。坂路で軽く末脚を伸ばしてみたところ、ラスト1ハロン11.6秒をマークしてしまった驚がくの脚力の持ち主。現在のダービー候補がどの馬かは知らないが、このレースが終われば、競馬ファンの意見も一致するに違いない。土曜の京都9R萩S。これがこの日の“メインレース”である。
(松浪大樹)
東京スポーツ