人気にもなってはいたが、ここでもあらたな3歳馬が強いレースを見せた。グリムがレースを引っ張り、
ミツバ、
チュウワウィザードと、2周目向正面からは早くもこの3頭の争い。勝ったのはこれが重賞初挑戦の
チュウワウィザードで、勝ちタイムの2分40秒7は、
名古屋グランプリ18回の歴史で2番めに速いタイムだった。
1400m通過(2度めのゴール番通過)が1分31秒台で、このレースとしては緩みのないやや速いペース。それでいてレースの上り3Fが37秒7、勝った
チュウワウィザードの上り37秒4は、いかにも速い。
ダートの長距離戦では途中でペースが極端に落ちることもめずらしくなく、そうなれば上りだけの勝負となって、長距離適性がそれほどない馬でも対応できる。しかし今回はある程度のペースで流れ、それでいて最後まで脚を使える馬でないと対応できない、よりスタミナが要求されるレースになった。
その流れを演出したのは
ミツバだ。逃げたのはグリムで、
チュウワウィザードがその真後ろで2番手。そのままならグリムのペースになるところが、スタート後は4番手あたりを追走していた
ミツバが、1周目の向正面から一気に位置取りを上げ、グリムの外にピタリと張り付いた。
ミツバに突かれる形となってペースが緩むところがなく、グリムには厳しい流れになった。
最後の直線では満を持して
ミツバがグリムをとらえにかかったが、そのタイミングを待っていたのが、直後で脚を溜めていた
チュウワウィザードの川田騎手。名古屋の短い直線のゴール前で差し切った。
ミツバも伸びてはいたが、最後にグイと伸びた一瞬の脚は、斤量2kgの差も大きかった。
勝った
チュウワウィザードは、デビューからダート中距離のみを使われ、これで8戦5勝、すべて3着以内と底を見せていない。次走がどこになるのかはわからないが、2100mでも長距離的な流れになることが多い
川崎記念あたりでも能力を発揮するのではないか。
川崎記念というと、どうしても
東京大賞典組が優勢だが、
名古屋グランプリを
ステップに
川崎記念で飛躍という馬も少なくない。
ヴァーミリアン、
フィールドルージュなどは、ここを勝って臨んだ
川崎記念がGI(JpnI)初制覇だった。
地方馬ではダート
グレードで実績のある
ハッピースプリント、
カツゲキキトキトが、2周目の3コーナーあたりまで前3頭の直後につけていたが、すでに手応えからして勝負はついていた。
カツゲキキトキトはこれが今年15戦目でそもそも使い過ぎのような気もするし、直線まであわやという場面があっての3着だった昨年と違い、前述のとおり今回は厳しい流れにもなった。馬場の違いはあるが、
カツゲキキトキト自身は、いずれも3着だった一昨年、昨年より1秒以上速いタイムで走っている。
ハッピースプリントは、1年5カ月ぶりの実戦だった門別の
ロードカナロア・プレミアムでは復活を思わせる勝利だったが、その後の
瑞穂賞、
道営記念から、緊張の糸が切れてしまったのかどうか、走る気をなくしているように思える。