今週末、空前の“菜七子祭り”を目撃するかもしれない。藤田菜七子騎手(21)=美浦・根本=に、騎乗依頼が殺到しているという。何を隠そう、3月1日から適用される女性騎手恒久2キロ減制度により、平場のレースは3キロ減での騎乗となるからだ。一昨年に同様のルールを導入したフランスでは、女性騎手の戦績が軒並み急上昇。JRA唯一の女性騎手が、リーディング争いに加わる日はそう遠くないだろう。
フェブラリーSでJRA女性騎手として初のG1騎乗を果たし、競馬ファンのみならず日本国民の耳目を集めた藤田菜七子。今週末も、空前の“菜七子祭り”が巻き起こるかもしれない。
先週までは1キロ減だった菜七子だが、3月1日から女性騎手の新減量ルールが適用されるため、今週末は3キロ減での騎乗となる(通算100勝まで)。斤量2キロ=1馬身という説もあり、当然のことながら「菜七子が欲しい」という“ラブコール”が関係各所から殺到中だ。
既に、水面下では熾烈(しれつ)な争奪戦が繰り広げられている。「経験のない3キロ減と、経験を積んだ騎手の3キロ減は全く違う。今ですら依頼してもなかなか乗ってくれないほどの人気だが、これで3キロ減になったら…」とは関東の某調教師。もともと小倉3週目(23、24日)を予定していた馬が、菜七子が乗れると分かった途端、4週目(3月2、3日)以降にスライドするケースも多発しているという。
全騎手の6分の1が女性である“先進国”フランスでは、17年3月に2キロの減量特典を導入。すると騎乗数が倍以上に達し、勝利数に至っては約3倍にまで急上昇した。18年の年頭には
ミカエル・ミシェルが、女性ジョッキーとして史上初の開催リーディングを獲得。同年3月に減量特典は1・5キロに引き下げられたものの、変わらず騎乗依頼は増え続けており、勝ち鞍をさらに伸ばしている。
菜七子自身は昨年9月1、2日に女性騎手一節最多騎乗となる計18鞍を経験。スタミナに不安はなく、仮に土日フル参戦となっても難なくこなせよう。2キロ分の減量についても、「もともと体重は軽いので、それほど苦労なく減らせます。問題なく(当週を)迎えられると思います」とコメントしており、心配はご無用。一体何鞍に乗り、何鞍勝つのか-。21歳に注がれるファンの視線は熱を帯びるばかりだ。
提供:デイリースポーツ