降りつづく雨が中山の芝コンディションを重としたなか、第56回
弥生賞の出走馬10頭がゲートを飛び出した。
最内枠の
ラストドラフト、1番人気の
ニシノデイジー、
ミルコ・デムーロの
カントルといった内の人気どころはまずまずのスタートを切った。
サトノラディウスが外によれたあおりを受けた
シュヴァルツリーゼと、両側から挟まれそうになった
ラバストーンは後方から。大外10番枠から出た
池添謙一の
メイショウテンゲンもゆっくりとしたスタートとなり、無理せず後方4、5番手で1コーナーへと入って行く。
ラストドラフトが単騎で先頭、2番手は
ヴァンケドミンゴ、3番手の内に
カントル、外に
ナイママ、少し遅れた内に
ニシノデイジーがつづく。
メイショウテンゲンは
ニシノデイジーから1馬身半ほど後ろの外につけた。
「雨が降って馬場が味方をしてくれたのが一番でしたね。お母さんも道悪が得意だったのですが、息子も馬場を気にせず、終始いい形で進めることができました」と池添。
1000m通過は1分1秒8。数字だけ見るとスローだが、馬場状態を考えると平均ペースといったところか。
先頭から
メイショウテンゲンまでは5馬身ほど、そこから4馬身ほど離れて
ブレイキングドーン、さらに2馬身遅れて
シュヴァルツリーゼ、その5馬身後ろに最後方の
ラバストーンという隊列になった。
ハナを切った
ラストドラフト以外の先行馬は掛かり気味の手応えだ。それに対し、中団から後方の
メイショウテンゲン、
ブレイキングドーン、
シュヴァルツリーゼらは促し気味に走っている。
3、4コーナー中間地点で
メイショウテンゲンが外から押し上げ、先頭との差を2馬身ほどに詰めた。
「前走の
きさらぎ賞(5着)は切れ負けしたので、今日は早めの競馬をしようと思っていました」という池添のプランどおりの形だ。
外から内の馬たちに並びかけ、直線へ。
ラスト400m。池添の左ステッキを合図にスパートし、じわじわと先頭に立って抜け出しをはかる。
さらに外から
ブレイキングドーンと、これに4コーナーで張り出されるような格好になった
シュヴァルツリーゼが追い込んでくる。
しかし、最後まで伸びつづけた
メイショウテンゲンが1着。1馬身半差の2着に
シュヴァルツリーゼ。3着の
ブレイキングドーンまでが
皐月賞の優先出走権を確保した。
トップスピードに乗るまで時間はかかるが、乗ってしまうと強いという
メイショウテンゲンの特性を生かした池添の好騎乗もあり、見事に良血が開花した。
(文:島田明宏)