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ドバイターフ・UAE・G1」(30日、メイダン)
日本の誇る名牝が、鮮烈な世界デビューを果たした。ルメールの手綱に導かれ、
アーモンドアイが
ドバイターフを完勝。余力たっぷりの走りで新たな勲章を手にするとともに、連勝を「7」に伸ばした。今後についての具体的なローテは未定だが、以前から陣営が口にしていた
凱旋門賞挑戦に向けて、大きく前進したのは間違いない。なお、
ケイティブレイブを除く日本馬9頭は、2日に帰国する予定。
ルメールは右拳を3度小さく上下させた。たてがみをやさしく2度さすり、最高の相棒
アーモンドアイに感謝の気持ちを伝える。スタンド前に戻ると、たくさんの温かい日本語の声援が待っていた。青い目のサムライは何度も左腕を掲げて応えた。
さながら“調教代わり”といった感じか。大楽勝の世界デビュー。好スタートから自然に流れに乗り、直線半ばまで持ったまま。残り1Fで鞍上が振り返り、右後方の
ヴィブロスを認めて初めて手を動かした。しかし、ステッキも肩に多少触れる程度。必死に追うラ
イバルのアクションとの好対照が、“越えられない壁”の存在を物語っていた。
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リラックスしていた。いつも通りの走り。今年初戦で彼女の適距離よりは短かったけど、やはり問題にならなかったね。彼女は“有資格者”だよ。これはあくまで第一歩。歩むべき道は一歩一歩だが、これで次のステージに進める。地平線の先に、彼女のこれからの偉大な勝利が待っている」。主催者がセットした公式会見で、ルメールは故郷フランスの秋空に日の丸を掲げるシーンを意識したコメントを残した。
「勝てば夢が広がる」と話していた国枝師の視界にも、目標の輪郭がくっきりしてきたようだ。同じ席で指揮官は「私の夢は続く。オーナーらとの相談もあるのであくまでも私見だが、恐らく次は欧州。凱旋門の前に、どこか欧州で一戦するんじゃないか」と見通しを語った。
これでG1、5連勝。ルメールは騎手人生最高の相棒を、世界の名馬に例えてこう形容する。「ボウマンにとってのウィンクス、スミスのゼニヤッタ、キネーンの
シーザスターズ。そういう存在として競馬史に刻まれるべき特異な馬になる。だから、彼女を勝たせ続けるのは、ボクの責任だ」
いったん帰国して旅の疲れを癒やしたら、
アーモンドアイは再び海を渡るだろう。その背でルメールは、日の丸と競馬史への“責任”を果たし続ける。
提供:デイリースポーツ