5日に
NHKマイルCが終わり、3歳世代の春のGIも
オークス、ダービーを残すのみになった。その意味では古馬牝馬の
ヴィクトリアマイルがメインの今週末は、当欄としては
クライマックスを前にした最後の“谷間”。加えて、9日に本紙別冊“ザッツPOG”の発売直前とも重なり、このタイミングでひと足先に現状の注目2歳馬に触れてみたいと思う。
筆者の取材地である美浦トレセンに関して言えば、
ゴールデンウイーク前あたりに急激に2歳馬の数が増加。
桜花賞→
NHKマイルCの変則2冠達成こそならなかった
グランアレグリアが、昨年の新馬戦開幕週の快勝からそのキャリアをスタートさせたのが顕著な例で、クラシックを意識した場合の早期デビューの必然性は疑いようがない。今後ますます、この傾向が強くなるだろう。
その
グランアレグリアを擁した藤沢和厩舎には、今年も開幕週のデビューを意識する2歳馬がすでに調整のピッチを上げつつある。
アブソルティスモ(牡=
父ダイワメジャー、
母ラドラーダ)、
モーベット(牝=父
オルフェーヴル)の2頭で、前者が
レイデオロの半弟、後者は
母アイムユアーズなら血統面の説明は不要だろう。
両者はノーザン
ファームが生産、育成を手がける点でも
グランアレグリアと同じ。POGの枠にとどまらない“必勝法”とでも言おうか。その信頼度の高さには揺るぎないものがある。
「(同じ
ダイワメジャー産駒の全兄)
ティソーナと違って子供っぽいところがなく、気持ちの面ですごく利口な馬。これはちょっといいんじゃないか」とは
アブソルティスモについての藤沢和調教師の弁。
モーベットも「早い段階でゲート試験に合格して、落ち着きも出てきた。いい調教ができている」と、こちらも順調そのもの。真の評価はさらに調教ピッチが上がってからになるが、ひとまず所属厩舎やオーナーにおける
バックボーンで“走る条件”をクリアする2頭から目が離せない。
そしてもう一頭、注目しているのが堀厩舎の
サリオス(牡=
父ハーツクライ、
母サロミナ)。こちらも先月19日にゲート試験に合格し、2日には美浦坂路で4ハロン56.4-13.0秒をマークする順調ぶりだ。
堀厩舎は昨年、06年以来続いた重賞勝ちが途絶え、現3歳でクラシックに駒を進めたのも
シュヴァルツリーゼのみだったが、それだけに現2歳の巻き返しが脅威、かつ当然の実力厩舎。
同馬は560キロという、この時期にデビューを視野に入れる2歳馬としてあまり聞かない巨漢馬だが、「入厩当初は環境になじめませんでしたが、だんだん落ち着いてきました。動きが素軽くてフットワークも上々。いい素質を感じます。このまま調整を進めていって、(3回)東京の頭で使えるかを判断していくことになると思います」(森助手)と陣営の評価も高い。
3歳世代の頂上決戦を直前に控えた中、2歳馬のシ烈な争いも、すでに始まっている。
(立川敬太)
東京スポーツ