先週のダービー同様、スタートが勝敗に大きく響く結果となった。
大外16番枠から出た
武豊の
ロジクライがゲートを出て2、3完歩目から内に斜行。15番
ダノンプレミアム、14番
アーモンドアイ、13番
ペルシアンナイト、12番
ロードクエストの進路を妨害した。
「スタートはまっすぐ出たのですが、物見して内によれてしまいました3、4頭に迷惑をかけてしまい、申し訳ないです」と武。
アーモンドアイのルメールはこう話す。
「スタートで5馬身ぐらいのロスがあった。しょうがないですね。GIのマイル戦でスタートは大事。道中は冷静に走ってくれた」
行き場をなくして後退した
ペルシアンナイトの
ミルコ・デムーロは腰を落とすほどの不利を被った。温厚な彼が珍しく、レース後は「スタートはよかったんだけど…」と憮然とした表情だった。
外のほうでこうしたアク
シデントが発生するなか、内の2番枠から出た
アエロリットがハナを切った。
福永祐一の
インディチャンプは、パドックで
音無秀孝調教師にこう伝えていた。
「3列目のインを取って、直線で馬群を割っていきます」
福永が狙っていたとおり、
インディチャンプは3番手の内のポジションを取った。途中で他馬を先に行かせ、番手はやや下がったが、好位で折り合いをつけている。
「一番気をつけていたのはスタートです。今日もゲートのなかで、遅れてもおかしくない体勢になっていました。ゲートを出て、ポジションを取りに行った先でも
リラックスして走ってくれた。前走も、取りに行きましたからね」
そのときは折り合わなかったのだが、出して行く走りをさせたことが、本番のここで生きた。
直線に入ったときには、先頭との差は5、6馬身あったが、福永は落ち着いていた。
ロードクエストと
モズアスコットの間から鋭く末脚を伸ばす。
「この馬は一頭になると遊ぶところがあるんだけど、前のちょうどいいところに
アエロリットがいた。自分でも驚くほど冷静に乗れました。9レース(2勝クラス。
コーカスで2着)より冷静でした(笑)」
そう話す福永の
インディチャンプがクビ差で
アエロリットをとらえ、先頭でゴールを駆け抜けた。
外から猛然と追い込んできた
アーモンドアイは、2着の
アエロリットからハナ差の3着だった。
昨年6月の条件戦からつづけてコンビを組み、これが6戦目だった福永と
インディチャンプの試行錯誤が実を結んだ一戦であった。
(文:島田明宏)