ラジオNIKKEI賞(GIII)の前身である1995年のラジオたんぱ賞に優勝したのが、アイルランド生まれの
プレストシンボリだ。
藤沢和雄厩舎の管理馬として、33戦6勝の成績を残して競走馬登録を抹消された。
その
プレストシンボリが、茨城県牛久市奥原町にある一般社団法人ヒポトピアで余生を送っている。現在のオーナーは獣医師でありホースセラピーのイン
ストラクターでもある小泉さんだ。彼女が千葉県で活動していた頃に出会ったのが
プレストシンボリ(愛称ぷーちゃん)だった。
当初はぷーちゃんから何度も落とされたという小泉さんだが、ともに過ごす時間が増え、調教が進むにつれて信頼関係は深まり、やがて知的障害のある子どもたちを安心して乗せられるセラピーホースとして活躍するようになった。
2017年8月、小泉さんは以前いた乗馬クラブから独立し、美浦トレセンからほど近い現在の場所に活動の拠点を移した。ぷーちゃんも小泉さんとともに、千葉県から茨城県へと移動してきた。
今年3月6日に27歳になったぷーちゃんは、年齢的なこともあり、昨年夏にセラピーホースからは引退という形にはなっている。だがヒポトピアにいる他の馬たちはまだ経験が浅いため、ここぞという時には助っ人として登場することもあるという。
「ぷーちゃんに全幅の信頼を置いていますし、私にとってはスーパーな馬なんです」
小泉さんは愛おしそうにぷーちゃんの鼻面を撫でた。
プレストシンボリ27歳。先頭で駆け抜けたラジオたんぱ賞から24年の歳月が流れた。今は小泉さんの愛情を一心に受け、子供たちからぷーちゃんと慕われて、穏やかな日々を過ごしている。
6月25日(火)の「第二のストーリー 〜あの馬はいま〜」は、
プレストシンボリほか、ヒポトピアにいる馬たちを紹介します。
(取材・文:佐々木祥恵)