イギリスの競馬番組の名物解説者ジョン・マクリリックさんが、5日(金曜日)、入院していたロンドンの
プリンセスグレイス病院で亡くなった。享年79歳だった。
競馬日刊紙スポーティングライフの記者として活動し、
ブリティッシュ・プレス・アワードを2度受賞した後、1981年からITVスポーツの競馬中継で解説者として登場することになったのがマクリリックさんだ。前職がブックメーカーであるゆえ、身振り手振りで出走各馬のオッズを伝える「
チックタック」と呼ばれる独特の手法を駆使した解説が競馬ファンに受け、たちまち人気者となった。
競馬中継の発局がITVからチャンネル4に移ると、彼も「チャンネル4レーシング」の解説者に転身。年を経るごとに、両頬に長いもみあげをたくわえ、太い葉巻をくゆらせながら、他人を挑発するような口調で持論をたたみかける「マクリリック・
スタイル」を確立し、英国競馬ジャーナリズムになくてはならない存在となった。
ここ数年は病気がちで、昨年秋に久しぶりにテレビ番組に登場した時には、見違えるように激ヤセした姿だったことが、競馬ファンを驚かせていた。
一時代を築いた解説者の死に、競馬業界からは悼む声が続々とあがっている。
(文:合田直弘)