西日本を襲う台風10号の影響で
キセキは当初の予定より1日早い14日に追い切るなど、トレセンの皆さんは悪天候の影響、というより事前に台風の動向を踏まえて計画的に調教プランを練り直しています。
今回の台風、栗東での影響は風の勢いが凄いですね。結構音がするので、その様子に驚く2歳馬を見かけたりしました。
この台風のあとは再び猛暑になるという予報も出ており、人馬ともに過ごしにくい日々はまだまだ続きそうです。
そんな中、15日14時33分ごろ、青森県三八上北地方で最大震度4の地震が発生しました。これは種牡馬として過ごす
ウインバリアシオンの居所の近くということで、さっそく安全確認の連絡を繋養先のス
プリング
ファームさんへ入れました。
すると、まず「大丈夫です。結構揺れましたが」とス
プリング
ファームの佐々木さん。まぁ、そこで用件は終わりなのですが、ちょっと気になる話が…。
「実は地震の直前、バリが急にいななき始めたんです。それに釣られてまわりの馬たちも鳴き始めて。さらにそのあと、急にせわしなく興奮したように馬房の中をグルグルと回り出したんです」
思わずわたし、電話口で「え!?」と驚きを隠せませんでした。
ウインバリアシオンは競走馬時代から旋回癖などまったくないドッシリ落ち着いた馬だったのですから。そんなバリがグルグルとせわしなく馬房内を回る…。そんな姿、まったく想像できません。
「でも、しばらくしてピタッと止まって…そしたらグラグラと揺れ始めたんです」
なんと!バリは地震を察知したのでしょうか?! 馬は言葉を喋れないし、地震が早々何度も起きるわけではないので検証は難しそうです。でも、初期微動時に計測されるというP波を
ウインバリアシオンが感じ取った可能性は否定できない、とは言っても良さそうです。
そして、幸いバリも牧場もこの地震による被害は受けなかったとのことでした。とはいえ、報道がないので甚大な被害に遭われた方を知ることはないのですが、些細なことでも自然災害でご苦労が増えた方がおられたならお見舞い申し上げます。
自然災害は本当に怖いですよね。地震をはじめ、水の事故や台風など、自然がもたらす被害の前にすると人間の無力さを感じるばかりです。
そして、このような
ウインバリアシオンの様子から人間が感じ取れない何かを馬は感じているかもしれない、といった可能性に自然の偉大さを改めて実感するばかりです。
(取材・文:花岡貴子)