GI馬が4頭、うち2頭はここから
凱旋門賞に向かう予定という超豪華メンバーの第55回
札幌記念のゲートが開いた。
エイシンティンクルが好スタートからハナに立ち、
クロコスミア、
サングレーザー、
ワグネリアンらがつづく。
クリストフ・ルメールが乗る1番人気の
フィエールマンは後方の外、その2頭内の内埒沿いに、1枠1番から出た
川田将雅の
ブラストワンピースがつけている。
川田はこう話した。
「この枠になった時点で、嫌なイメージの並びでした。終始いい流れではないなかでの競馬で、レース展開は苦しいものでした」
向正面に入ると
エイシンティンクルがリードを広げ、2番手を5馬身ほど離した単騎逃げの形になった。
1000m通過は59秒9。
3コーナーに入るとペースが上がり、
エイシンティンクルのリードが小さくなった。
ワグネリアンが抜群の手応えで3番手から先頭をうかがう。騎乗した
福永祐一はこう振り返る。
「両前脚を落鉄していました。思い描いていた以上の競馬ができましたが、最後伸び切れなかったのは、落鉄の影響がたぶんにあったと思います」
ワグネリアンが内の3頭に並びかけて4コーナーを回った。
ブラストワンピースは
ワグネリアンの内、
フィエールマンは外に進路を取り、直線に向いた。
「4コーナーで道をつくりにいこうとしたが、道がなかった。
ワグネリアンが動いて前がバラけたので助かりました」と川田。
一方のルメールは「札幌だから内がいいのはわかっていた。だけど、安全に外に行きました。一番の目標は次(
凱旋門賞)です」と話した。
ラスト200m。先頭は
サングレーザー。
ワグネリアンが外から並びかけようとしたが、これら2頭の間から
ブラストワンピースが猛然と伸びてくる。
大外から
フィエールマンも末脚を伸ばし、差を詰めてくる。
1完歩ごとに前を追い詰めた
ブラストワンピースが、
サングレーザーをクビ差で差し切ってフィニッシュした。
勝ちタイムは2分0秒1。
管理する
大竹正博調教師はこう話す。
「力のいる馬場が味方しましたね。瞬発力勝負になると分が悪いのですが、馬と馬との間にスペースができたので、勢いをつけることができました」
父
ハービンジャーはイギリスでGIナッソーステークスを勝った
ディアドラと同じ。やはり、
パワーと底力勝負になると強い。
3着に追い込んだ
フィエールマン陣営も、
手塚貴久調教師が「悪いレースではなかった」と言ったように、「次」への手応えを得ることができたようだ。
ブラストワンピースと
フィエールマンの
凱旋門賞での走りが楽しみになった。
(文:島田明宏)