栗東トレセンでは夏の期間に角馬場やDコース、ポリトラック馬場の工事が行われていたが、今週から新装オープン。ポリトラック馬場に改善点については、栗東トレーニングセンター、馬場造園課長の根岸清隆氏にお話しを伺った。
「2009年に開場したポリトラック馬場ですが、年月が経ったことによる油分の減少によって、キック
バックが大きくなったという調教騎乗者からの意見があったため、3年ほど前から馬場の掘り起こし作業など行ってきました。
しかし、今回はポリトラック自体を入れ替えて、なおかつ3cmだった深さを5cmにして、よりクッション性を充実させる工事を行いました。それによって、歩いた感触では適度なふんわり感がありますね」とのこと。
今週は開場した週ということもあり、追い切り頭数は少ないが、時計の出方としては速すぎず遅すぎずといった感じ。今後は利用頭数も増えていくと思われるので、当コラムでもしっかりと取り上げていきたい。
【坂路/4F51.9秒】
9月4日。今週は
スプリンターズS(9月29日・中山芝1200m)の前哨戦、
セントウルSの最終追い切りが行われた関係もあり、4F時計の
トップテン、2F時計の
トップテンには速い時計がズラッと並んでいる。
4F時計は49.4秒の
マテラスカイ(栗東・
森秀行厩舎)、2F時計は23.5秒の
シュウジ(栗東・
須貝尚介厩舎)。どちらも坂路では速い時計を出す馬ではあるが、やればここまでの時計が出るんだと思わせるくらいの数字。
そもそも4F時計で51秒以下は10頭以上というあたりで時計の出る馬場と判断してしまうが、秋になって、スピードのある馬が追い切っているという状況もあるだろう。
そんな中、春に比べて成長を感じさせる動きを見せたのが
プールヴィル(栗東・
庄野靖志厩舎)。フィリーズRを勝った時の最終追い切りでも、いい走りを見せていたが、今回はそれ以上。
重心が低くなり、力強さが出てきた。2F目から12.5秒のラップを踏みながら、ゴールまで12.0秒、12.2秒とスピードを持続していくのだから、この動きには文句のつけようがない。
9月5日の一番時計は
ノボバカラ(栗東・
森秀行厩舎)と
アイラブテーラー(栗東・河内洋厩舎)の4F50.7秒。9月4日の午後にかなりの雨が降っているが、その影響はさほどなかったと考えてよいだろう。
この日の追い切りで注目したのは、
ローズS(9月15日・阪神芝1800m)の出走を予定している
アルティマリガーレ(栗東・
佐々木晶三厩舎)。調教助手が跨って、単走での動きだったが、4F52.4~3F37.7~2F24.4~1F12.5秒という時計。
数字としては2F25秒を切る頭数が多かったことを考えれば、出色というほどではなかったが、ゴール前で抑える余裕があっての数字だから素晴らしい。
ここまで4戦3勝、重賞実績はなくても注目される存在となりそう。しかし、それに見合うだけの動きを見せているし、強い相手にどこまでやれるか本当に楽しみ。
先週の馬場差は「+0.3秒」。先週も今週も雨は降っているが、影響が大きかったのは先週。今週は全体的に見ても、速い時計が多かったので、走りやすい馬場と考えたい。よって、今週の馬場差は4日、5日とも『-0.4秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
9月4日。夏競馬が終わったということもあり、通常に近い、活気あふれる朝一番の開場前という雰囲気だった。
馬場状態としては、至って標準。テンから飛ばしていけばラスト1Fは時計を要するし、前半をゆっくり入れば、終いは時計が出る。
ただ、坂路と同じで、オープン馬や上位クラスの追い切りがあり、全体的に見渡すと速い時計が出ている点も見逃してはいけないだろう。
そんな中、高いレベルで速い時計を出した印象は
ローズSの出走を予定している
ビーチサンバ(栗東・
友道康夫厩舎)。追い切り内容に関しては、一緒に併せた
マイラプソディを取り上げた昨日のトレセンニュースに記した通りだが、こちらは重心の低いフットワークで力強さが目立った動き。この距離であらためて、といったところだろう。
9月5日。馬場状態は変化なし。先週までは追い切り頭数が少ない木曜日だったが、さすがに今週からは通常通りに戻ってきた印象を受ける。
先週の馬場差は「+0.3秒」。こちらも坂路と同じく、時計を要する状態だった先週に比べるとある程度の時計は出ている。よって、今週の馬場差は4日、5日とも『-0.4秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は水曜日、木曜日ともに追い切り頭数が少なめ。馬場状態としては、先週までと変わりなく、走りやすい状態が続いている。よって、今週の馬場差は4日、5日とも『±0.0秒』で記録している。
冒頭に記したように、ポリトラック馬場は今週から開場。
京成杯AHに出走する
ヒーズインラブ(栗東・
藤岡健一厩舎)が最終追い切りに利用しているが、テンから飛ばしていったこともあり、ラスト1Fは12.5秒。
以前のように10秒台が出るような硬さはなく、スピードに乗った追い切りを行いたい新馬などには有効な馬場状態ではないだろうか。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)