先週は東京ダート1600mの新馬戦が想定段階で30頭超え。結局、16頭が除外されており、それだけでもう1レースを組むことができるような状態。その中から先週の他レースへ再投票した馬は1頭だけなので、除外の権利持ちが増加。この傾向は年末にかけて強まっていきそうな気がする。
ただ、レースによって偏りがあるのは確かで、芝中距離になると頭数割れもたくさんあるくらい。馬による適正な競走条件が明確ではない新馬戦なら、いろんな可能性を試してみるということもあってよいのではないだろうか。
【11月30日(土) 阪神芝1600m】
◆
ヒメノカリス(牝、
父ディープインパクト、
母ドバイマジェスティ、栗東・
池江泰寿厩舎)
全兄は同厩舎で管理され、
皐月賞、
大阪杯のG1を2勝している
アルアイン。個人的な印象としては、性別の違いもあってか、馬体などは違うタイプ。ただ、その分、軽快さがあって、スピード能力が高そうな印象を受ける。
11月20日のCWではレースで騎乗予定の
川田将雅騎手が跨って、古馬3勝クラスを追いかける併せ馬。4馬身ほど後ろを追走していたが、4コーナーから最後の直線へ向くあたりではすでに射程に入れる形。ラスト1F標識手前であっさりと追いつくと突き放しそうな手応えだったが、躓いたこともあって、1馬身ほど抜けたところで無理をしなかった。それでも相手が来れば来るほど伸びようとしている感じだったし、勝負根性もなかなか。これに力感が出てくれば、鬼に金棒といったところだが、現状で新馬勝ちのレベルを優に超えている。
【12月1日(日) 阪神ダート1400m】
◆
ナリタウルフ(牡、父
キンシャサノキセキ、
母オースミリンド、栗東・
宮本博厩舎)
JRAに登録した兄姉の11頭がすべて
宮本博厩舎という、厩舎ゆかりの血統。それだけに
宮本博調教師のコメントを聞いてみたかったのだが「すごくいいよ」という第一声。「スピードがあって、追うたびに速い時計が出るようになってきました」と手応えを感じている様子だった。
11月20日の坂路はレースで騎乗予定の
川又賢治騎手が跨って単走。4F53.9秒はさほど速くない時計だが、2F25.2秒、1F12.3秒は終いがしっかりした伸び。これを余力ある状態で出せるのだから、その脚力はなかなかのものだろう。ここまで十分に乗り込まれているし、秋開催の阪神ダート1400mで新馬勝ちを決めた
ナリタスプリング(
父フジキセキ)のような活躍を期待したい。
【12月1日(日) 中京芝1400m】
◆
アランチャアミーゴ(牡、父
Carpe Diem、
母Brampton、栗東・
斉藤崇史厩舎)
父の父は
Giant's Causewayで、同じセール出身の
ナイルリバー(栗東・
藤原英昭厩舎)は先日の東京ダート1600mのデビュー戦を勝利で飾っている。こちらもダート向きかと思いきや「芝に対応できるスピードがありますね」と
斉藤崇史調教師。
CWでの併せ馬ではなかなか先着できていないが、古馬2勝クラスの
ヴィッセンやオープンの
ダッシングブレイズといった馬が相手なので、むしろそれが期待の大きさを示している。坂路も併用して、しっかりと乗り込まれているので、あとは実戦での動きに期待したい。なお、鞍上はR.ムーア騎手が予定されている。
◆
ソプラドール(牝、
父マジェスティックウォリアー、
母シャスターデイジー、栗東・安田隆行厩舎)
祖
母サンドリオン(
父コマンダーインチーフ)は当時オープン特別だった
紫苑Sを勝っており、
母シャスターデイジーは芝とダートで1勝ずつを挙げている。どちらも現役時代は安田隆行厩舎で管理された、厩舎ゆかりの血統でもある。
斎藤新騎手(レースは
鮫島克駿騎手)が跨った、11月21日のCWでは併せた古馬3勝クラスの
レッドガランに遅れる内容となったが、時計的には十分走れている。11月14日の坂路では新馬と併せて楽な手応えで先着しており、すでに新馬として動ける水準以上のレベルにはある。母は新潟芝1400mで新馬勝ちしており、同じ左回りの芝1400mという意味では期待値が高い。
(取材・文:井内利彰)