「
有馬記念・G1」(22日、中山)
超豪華な顔触れがそろったドリームレースを、2番人気の
リスグラシューが驚異の末脚で制圧。管理する
矢作芳人調教師(58)=栗東=にとってうれしい初参戦での美酒となった。
アーモンドアイを直接対決で打ち倒したことにより、
年度代表馬争いはがぜん有利な立場に。ラストランを最高の形で締めくくった
ハーツクライ産駒は、その名とともに血統を後世へつないでいく。
一完歩ごとにラ
イバルを突き放した最後の直線。あらがう敵などもういない。キャリア最高のパフォーマンスを、ラストランで鮮やかに披露して見せた。令和の有馬を5馬身差圧勝で締めくくった
リスグラシュー。矢作師は馬だまりに戻ってきた5歳馬をじっと見つめ、よし、よしと頭をなでた。
「先週、今週と悔いがないように併せ馬を。追い切り後にさらに進化していた。自分の見る目に間違いがなかったことがうれしい」
体質が弱かった2、3歳時とは別馬のような勝ちっぷりだった。師は「以前は出遅れることが多かったので、鍵はスタート」と心配していたが、全くの杞憂(きゆう)に終わった。「この馬には“ありがとう”の言葉しかない。
有馬記念はファン投票だし、日本人として特別な思いがある。スタッフや、牧場関係者のみんなの力があっての勝利」。特例措置で呼び寄せたレーンも含め、“チーム矢作”でつかんだ特大の勲章。「働かない調教師で…」などと謙遜しつつ、ここに至るまでの思いがよぎり、声を震わせた。
改めて
リスグラシューとはどんな馬か、と問われた指揮官は、「史上まれに見る名牝」と返した。最初で最後となった
アーモンドアイとの対決も難なく制し、
宝塚記念、
コックスプレートに続く今年3連続のG1制覇。あとは、栄えある
年度代表馬に選ばれるのを待つばかりだ。「一生に一度は獲りたいと思っていた。そのチャンスが大きくなったと思います」。至高の称号を胸に、1月19日の京都で引退式を行う見込みだ。
令和元年を「出来過ぎでした」と振り返った師は、「交通事故に遭わないように」と周囲を笑わせた。今年の
中央競馬最終日となる28日には、
コントレイルで挑む
ホープフルSが待っている。しばし歓喜に浸り、再びチーム一丸となって目標へ突き進んでいく。
提供:デイリースポーツ