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【有馬記念】リスグラシュー有終V 牝馬史上初!グランプリW制覇 レーンが大仕事

デイリースポーツ
  • 2019年12月23日(月) 06時00分
 「有馬記念・G1」(22日、中山)

 最高の形で締めくくった。G1馬11頭がそろった豪華な一戦は、2番人気のリスグラシューが5馬身差をつける圧勝劇で幕を閉じた。宝塚記念に続く同一年のグランプリ制覇は、史上10頭目で牝馬では初、鞍上のダミアン・レーン騎手(25)=豪州=は史上8人目の同レース初騎乗初制覇となった。2着には3番人気のサートゥルナーリア、3着には4番人気のワールドプレミアと今年の皐月賞菊花賞馬が入った。断然の1番人気に推されたアーモンドアイは9着に終わった。

 これが世界を制した末脚だ。圧倒的な強さ。そして完璧な鞍上のリード。リスグラシューが見事に有終Vを飾った。

 中団のインで息を潜めたレーンは冷静に“その時”を待った。斜め前にいる圧倒的1番人気のアーモンドアイが動いても、相棒を信じるその手は微動だにしない。4コーナーが目覚めの時だ。コースを内から鋭角に切り替えて大外へ持ち出す。「馬の能力に任せた。反応が良く、その瞬間、自信を持った。後ろから差してくる馬はいない、と」。前方集団を並ぶ間もなくかわし、ライバルらを子供扱い。最高の仕上げに、最高の騎乗で応えた。

 宝塚記念、豪州のコックスプレートに続くコンビ3勝目を手にし、「成長していた。3戦の中で一番強かった」と驚く。それだけに、ゴールの瞬間はさみしさも感じたという。「G1を勝つと、次を楽しみに思うのが習慣となっているけど、“最後の騎乗だね”と残念な気持ちにもなった。今まで乗った馬で一番強く、世界一になる可能性があると思ったので。うれしさと二つの感情がミックスした」。ラストランに複雑な思いを口にした。

 リスグラシューにとってレーンは欠かせない存在。だからこそ、矢作師がJRAに働きかけ、国内外G1・2勝の実績が認められ、一日限定の臨時免許が交付された。「まさか乗れるとは思っていなかった。ありがたい」と感謝する。

 競馬一家に生を受け、腕を磨き続けた。「初めてポニーに乗ったのが5歳の時。15歳から父の弟子として見習い騎手を務めた」。父が現調教師なら、母も元調教師という豪州のサラブレッドは、味わったことのないファンの雰囲気を日本で体感した。「ファン投票で出走馬が決まるレース。ファンのために結果を残せてうれしい」。そう話すと「“あとで戻る”と言ったので」と大雨の中、サインを求めるファンの元へ走った。

 中山は初経験のコースだったが、過去の有馬記念での映像をチェックし、決戦に備えた。「ディープインパクトキタサンブラックが印象的だった。リスグラシューはいつでも勝てる馬。その2頭が相手でも勝っていたよ」。25歳の若武者が身震いするほどの強さ。惜しまれて引退するリスグラシューの圧倒的パフォーマンスは、海外でも語り継がれることだろう。

提供:デイリースポーツ

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