5月5日、園田11Rで行われる重賞・兵庫大賞典。今年で56回目を迎える伝統の中距離戦に今年は10頭が集結した。
過去には
ロードバクシン、
チャンストウライ、
オオエライジンと兵庫を代表する馬たちが制したレース。今年は1着賞金が昨年の2倍となる2000万円に大幅アップとあって、各陣営は例年にも増して熱が入っている様子だ。
今年は「
タガノゴールド対
エイシンニシパ」の一騎打ちムード。前者は重賞7勝、後者は重賞10勝を誇る。実力伯仲の2頭なだけに、どちらを中心に据えるかは非常に難しい。
悩んだ末、上位に選ぶのは近走レース内容に進化が見られる
タガノゴールド。これまでは中団からレースを運び、自慢の末脚で差し切るレースが多かったが、2走前の重賞・白鷺賞では「後方からでは厳しそう」(
下原理騎手)という当時の姫路の馬場状態を考慮し、2番手外からの競馬。ラ
イバル・
エイシンニシパよりも前に位置取るという、これまでとは逆パターンのレース運びを見せた。
4コーナーで内をすくった
エイシンニシパが直線で一旦は先頭に躍り出たものの、実はそれも
タガノゴールド側の作戦。「瞬発力があって必ず伸びる馬なので、ニシパが行くまで辛抱しようと思っていました」と下原騎手。まさに「テンよし・中よし・しまいよし」の強い内容で、前走・
ダイオライト記念(JpnII)は
JRA馬に混じって2~3番手から直線で粘って5着と健闘した。「最終追い切りもしっかり動いて、いい状態です。移籍当初から比べて走るフォームが変わり、力もつけています」と
新子雅司調教師。内枠に入っただけに、勝負所で包まれて動けなくなる点だけが心配だが、末脚の武器があるだけに、こちらを上位に推したい。
エイシンニシパは3歳時からずっと兵庫の中距離界を牽引してきた馬。昨年の同レース制覇のほか、同距離の新春賞連覇などこのコースに強い。前走は佐賀に遠征して重賞・はがくれ大賞典で2着だったが、4コーナーで内をすくった勝ち馬
キングプライドに対し、
エイシンニシパは外にふられながらのもので、決して悲観する内容ではない。「最終追い切りではタイムは気にせず、ジンギと最初から最後までびっちり併せ馬を行って、前走時より状態はいいです」と
橋本忠明調教師。宿敵・
タガノゴールドになかなか勝てていないだけに、ここは何としても勝ちたいところだろう。
3着にはどの馬がきてもおかしくなさそう。その中で、展開の助けを借りられそうなのは
オオオヤブン。有力馬に先行タイプが多いだけに、ペースが流れれば、後方から差してくる場面もあり得る。
メイショウオオゼキは約3カ月ぶりとなるが、「前走後にリフレッシュをして状態がいいです」と新子師。昨年は重賞で2着が3回もあり、当時の状態まで回復できていれば、当然上位争いに加わるだろう。
ジンギは父
ロードカナロア、母の
父ディープインパクトという血統でデビュー時から注目を集め続けた馬。3歳重賞は2勝しているものの、古馬重賞は今回が初めて。古馬相手に4勝を挙げるが、重賞特有の流れや道中のプレッシャーにどこまで馬が応えてくれるかだろう。
そして展開の鍵を握るのは
ヒダルマ。兵庫県競馬史上初となる12連勝を重賞・摂津盃で達成した馬だ。確固たる逃げ馬がいないここは、
ヒダルマが恐らく逃げるだろうが、万が一、控える競馬を選択した場合、
タガノゴールドや
エイシンニシパが押し出される形で逃げることもあり得る。そうなればレース結果にも大きな影響を及ぼしそう。「多少、成長分はありますが、もう少し絞れた方がよさそうです」とは
柏原誠路調教師の話で、当日の馬体重に注目したい。
なお、無観客競馬の間、園田競馬の発走時刻は日によって変動があり、兵庫大賞典は18時30分発走予定。どうぞご注意を。
(文=大恵陽子)