「
巴賞を勝った馬って、本番ではどうなんですかね?」
藤沢和厩舎・津曲助手からのこんな問いかけで始まった今週の
函館記念取材。
レイエンダを筆頭に3頭出しの同厩舎は、
レッドサイオンがその
巴賞で1番人気7着。3年前には
サトノアレスが
巴賞を快勝して
函館記念でも引き続き1番人気に支持されたが、6着に敗れている。ちなみに今年の
巴賞勝ち馬
トーラスジェミニの鞍上は(藤沢和厩舎)所属騎手の木幡育。何かと関連が深い。
昨年の
函館記念で1、2着した
マイスタイル、
マイネルファンロンは
巴賞9、12着馬。
巴賞からの臨戦で好走した馬は「負け組」ばかりであり、津曲助手が暗に示唆した、前哨戦の勝ち馬不振の傾向が
函館記念の見通し=予想を難しくさせている。とりあえずは
巴賞の負け組か、それ以外の路線から本命馬を探すべきか。
先週の函館競馬で妙に心に残ったのが土曜メイン・五稜郭Sでの
ナイママの激走。実に一昨年夏の
コスモス賞以来の勝ち星だった。次走の
札幌2歳S(2着)以来の洋芝で見事に復活を果たしたわけだが…。その
札幌2歳Sの勝ち馬こそが
函館記念に出走する
ニシノデイジー。この馬もまた洋芝が約2年ぶりという点で
ナイママと重なる。
特筆すべきは
ニシノデイジーの鞍上に、かつての主戦・勝浦が戻ってくることだ。函館入り後は付きっきりで稽古をつけており、日に日にトーンは上がっている。勝浦は「こちらが思っている感触と違ったことが多々あった馬ですから」と前置きしたうえで、「久々に乗ったら“あれっ? いいじゃん。全然やれそうじゃん”って思いましたね。少なくとも歯車が狂っているとか、成長していないといった感じはまったくない。もちろん(近走は)結果が伴っていないので強気なことは言えない。ただ、馬の雰囲気とか感じはすごくいいんです。元気があって、落ち着きもある」
勝浦が最後にコンビを組んだのは昨年の
セントライト記念(5着)。背中から降りることになった続く
菊花賞の見通しを「菊の舞台がピッタリ。(3冠の中で)一番チャンスがあると思う」と口にしていたにもかかわらず、やはり結果は出なかった(ルメール騎乗で9着)。人間側の感触、推測と合致しにくい馬と重ね重ね強調しつつ、「とにかくリズム良く運べるかですね。何回も乗っていて、勝った時のイメージはあるので」。そう、“勝った時のイメージ”を持っているのは、勝浦しかいないのだ。
記者自身は
ニシノデイジーの復活走は「脚をためる競馬」でしか実現できないと思っている。楽に先行できる脚もあるが、それとは逆に、いかにじっくり構えた競馬ができるか。それができるのは
ニシノデイジーを誰よりも知る勝浦だけなのではないかと考えている。
(函館のイレブン野郎・立川敬太)
東京スポーツ