全休明け(20日)の美浦トレセンで、無敗の3冠牝馬
デアリングタクト以上に話題をさらった馬がいるのをご存じだろうか。それは先週の京都・
大原S(3勝クラス)を2馬身差で完勝した
レイパパレ。デビューから4戦4勝。無傷でオープン入りを果たした
ディープインパクト産駒の才女である。
他陣営の関心を誘ったのは、当然ながらその強さだけが理由ではない。同馬は抽選対象だったGI
秋華賞を無念の非当選。結果、再投票した
大原Sでうっぷんを晴らした形だが、その勝ちっぷりが鮮やかであればあるほど「抽選」の是非に話題が集まったのだ。
「楽々走って勝ち時計が1分46秒3でしょ? 残り1ハロンが14秒3でも
秋華賞(2分00秒6)と同タイムだからね。実際、GIでどんな競馬をしたか見ものだったとは思うよ。ファンからすれば、歴史的偉業がかかる舞台でこそ“無敗対決”を見たかったろうけどね」
こう話したのは今週の
菊花賞(日曜=25日、京都芝外3000メートル)に担当馬
ブラックホールを送り出す三尾一之助手。一方で
菊花賞に登録した馬3頭のうち、2頭が抽選対象となる
国枝栄調教師は、自身の経験を踏まえて次のように語った。
「問題の本質は同賞金なら横一線の抽選が正解なのかってことだね。14年の
朝日杯FSを勝った
ダノンプラチナは象徴的。GIで1番人気になるほどの馬の運命さえガラガラポンで決めようってんだから、主催者の姿勢としてはいかがなものか」
印象深いのは15年の
桜花賞を抽選対象(3分の2)の身で非当選となった
ミッキークイーンだろう。同馬は再投票した
忘れな草賞で賞金を上積みし、のちに
オークスと
秋華賞を制した"幻の3冠馬"。出走すれば間違いなく上位人気に推される素材さえ排除してしまう現システムは、ブラッドスポーツや興行的側面から健全とは言えず、これを“あしき平等主義”でないと誰が言い切れよう。
「
JRAには優秀なハンデキャッパーがいるんだから、頂点を決めるGIくらいはレーティングによる選出があっていいのでは。それで除外なら誰も文句は言えないし、おそらく馬券を買うファンのニーズにも応えられるはず」(同師)
JRAが実力を認めるがゆえ、優先権が生じるのが現行のハンデ戦。その理屈をGIに当てはめるのは決して暴論でないはずだが…。
(美浦の賞金除外野郎・山村隆司)
東京スポーツ