岩手県を拠点に引退馬支援活動をしている一般社団法人馬と歴史と未来の会では、馬ふん堆肥を使用して栽培されたマッシュルームのスープ開発費をクラウドファンディングで募っている。題して「食べて美味しい引退馬支援!! 馬厩肥栽培マッシュルームで美味しいスープを作ろう!」。
馬と歴史と未来の会ではこれまでも馬ふん堆肥栽培のりんごや、りんごの加工食品の販売を行ってきた。だがりんごは季節食材のために安定した供給ができない。そこで通年で生産して販売できる商品として、マッシュルームスープの開発に踏み切った。
使用するのは同じ岩手県八幡平市にあるジオ
ファーム八幡平産の良質のマッシュルーム。
ファームでは隣接する牧場で暮らす引退馬たちの馬ふんで堆肥を作り、それを使ってマッシュルームを栽培を行っている。ちなみにマッシュルームは古くから馬が使用した寝藁や馬ふんの堆肥に生えていたきのこで、馬との関係が深い食材と言われている。
一方スープは、岩手県産の食材に精通した北上市のこだわりのレストラン「ときよじせつ ONODERA」の小野寺シェフにレシピ開発を依頼。水で薄めずにマッシュルームそのものを主役にした美味しいスープの試作が積み重ねられている最中だ。
馬を飼養するには、経済的な負担がかかる。「馬と人が気持ち良く共生していくには、馬がそれぞれの個性に合った仕事をこなして、自身の飼い葉代を稼ぎ出すこと。それが馬を飼養する上での経済的な問題が解決すると同時に、馬の命を繋いでいく重要な手段になると信じています」と話すのは、馬と歴史と未来の会の理事長・上田優子氏だ。
引退した競走馬のすべてが乗馬やセラピーホースになれるわけではない。だが馬ふんの排出は、故障を抱える馬や高齢馬、気性的に乗馬に向かない馬など、どのような馬にもできる仕事でもある。その馬ふんから作られた堆肥を使用したマッシュルームの需要や消費が増えれば、それだけ馬ふん堆肥と馬ふんを排出する馬の数も必要になるということだ。今回のマッシュルームスープがヒットすれば、さらに多くの馬ふんが堆肥として活用されるようになり、結果的に馬の命を繋ぐことにもなるに違いない。
馬や牧場、牧場施設等への支援募集が多くみられる中において、加工食品開発というこれまでとは一味違うクラウドファンディング「食べて美味しい引退馬支援」は、10月30日(金)23時59分まで、支援を受け付けている。
(取材・文:佐々木祥恵)
支援はこちらのサイトから
https://ishiwari.iwate.jp/pj/IswM9983158一般社団法人馬と未来と歴史の会 公式サイト
https://umato-rekishito-mirai.com/