競馬というスポーツは馬の能力や騎手の技術はもちろん、展開、馬場状態など、勝敗を分ける様々な
ファクターがあることは分かっているつもりだったが…。実際に現場で取材するようになると改めて実感させられる。
特に「コース適性」に関しては思っていた以上に極端な得意、不得意が存在する。先週の競馬から分かりやすい例を挙げれば、福島で全4勝を挙げていた
ヴァンケドミンゴは、
福島記念でもクビ差2着とほとんど勝ったも同然のレースを展開。「コース適性が
ドンピシャなら黙って買い」を肝に銘じた次第だ。
そう考えると、2017年1着→18年2着→19年3着と3年連続で馬券になっている
ペルシアンナイトの「
マイルCS(日曜=22日、阪神芝外1600メートル)巧者」ぶりは侮れないとできるはずが…。再三、話題に上がっている通り、今年の舞台は京都ではなく、阪神のマイル。となれば過去3回のようなわけにはいかない?
これまで好走してきた京都マイルの場合、3コーナーからの下り坂をうまく利用して加速。つまり、コース形態こそが
ペルシアンナイトの末脚を引き出していた。阪神への舞台替わりで、この一連の
サイクルが崩れても対応できるのかが焦点になるだろう。そのヒントを担当の齊藤助手が与えてくれた。
「若いころは体が柔らかく、しなやかな動きが特徴だったけど、古馬になってだいぶ筋肉質になり硬さは出ている。ただ、それがマイナスというわけではなくて、逆にパワフルになってきたとは言えるのかな。少なくとも阪神コースを苦にすることはないと思うけどね」
言われてみれば、以前は力のいる洋芝はそれほど得意ではなかった
ペルシアンナイトが今夏の
札幌記念では2着。
ラッキーライラック(3着)に先着する大健闘を見せた。直線での力強い脚さばきは、
マイルCSを制した絶頂期の
トップフォームがよみがえったかのよう。もともとの末脚の切れに、洋芝をも難なくこなす
パワーを手に入れた今の
ペルシアンナイトなら、直線で急坂が待つ阪神替わりはかえって好都合。仮にひと雨でも来て馬場が渋るようなら、まさにおあつらえ向きの状況にも…。
実は管理する池江調教師もまた舞台替わりを前向きに捉えている。
「例年、この時期に
ピークを迎える馬なのは確かだし、前走(富士S4着)を見ても叩いて良くなりそうなレースぶりだったからね。阪神にも実績がないわけではないし(17年アーリントンC1着、18年
大阪杯2着)、エンジンのかかりが遅い馬だけにワンターンのコースは悪くないはず」
ピンチのはずだった舞台替わりを、逆に王座奪還へのチャンスに変えることができるか。
ペルシアンナイトの走りにひそかに注目している。
(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)
東京スポーツ